今回ご紹介するのは映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』です。
2023年10月20日公開のマーティン・スコセッシ監督×レオナルド・ディカプリオの最新作をネタバレ有りで解説します!
マーティン・スコセッシ監督の過去作品を振り返りたい方はこちらの記事もご覧ください!
映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の作品情報
作品情報
作品名 | キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン |
原題 | Killers of the Flower Moon |
監督 | マーティン・スコセッシ |
脚本 | エリック・ロス マーティン・スコセッシ |
出演 | レオナルド・ディカプリオ ロバート・デ・ニーロ ジェシー・プレモンス リリー・グラッドストーン タントゥー・カーディナル カーラ・ジェイド・マイヤーズ ジャネー・コリンズ |
製作国 | アメリカ |
公開日時 | 2023年10月20日 |
上映時間 | 206分 |
上映時間は脅威の3時間半!!!
映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の登場人物とキャスト
写真 | 役名・キャスト・概要 |
---|---|
アーネスト・バークハート (レオナルド・ディカプリオ) 仕事を求める帰還兵。叔父に会う為に訪れたオクラホマで妻のモーリーに出会う。 | |
ウィリアム・ヘイル (ロバート・デ・ニーロ) 地元の有力者でキングと呼ばれる。石油を引き当てたオセージ族の富に目をつける。 | |
モーリー・カイル (リリー・グラッドストーン) オセージ族の女性でアーネストの妻。何者かによって母や姉妹が次々に殺害される。 | |
トム・ホワイト (ジェシー・プレモンス) モーリーの姉妹が殺害された事件を調べる為に街に訪れた連邦捜査官。 | |
ヘンリー・ローン (ウィリアム・ベロー) キングと仲のいいオセージ族の男性。キングからお金を借りている。 | |
リジー・Q (タントゥー・カーディナル) モーリーの母親。石油によって莫大な分配金を持つ。 |
映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は実話って本当?
この作品には原作となっているノンフィクション小説が存在している。
ベストセラーとなったデイヴィッド・グランの「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」が原作であり架空の物語ではなく実在した話なのだ。
1921年から1925年の5年間で少なくとも60人のオセージ族が殺害されるか行方不明になるという事件が起きたのだった。
オイルマネーを巡る不可解な連続殺人事件が起きるが地元当局は犯人を特定する事ができず、オセージ族評議会は事件の解決の為に連邦政府に支援を求めた。
支援を求められた政府は捜査局が現地で秘密裏に捜査を開始した。
この捜査局が後にFBIとなり、この事件はFBI発足の契機となったのである。
映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のあらすじ
石油という莫大な財産を手に入れたオセージ族
1890年代にオセージ族が暮らしていた土地から大量の石油が湧き出てくる。
これによりオセージ族は巨額の富を手にいれた。1920年代には現在の価値で600億円相当の石油を手にしたオセージ族の人々は生活が豊かになり世界で最も裕福な部族と呼ばれるまでになる。
そんなオセージ族とそれに目をつけた白人達が住むオクラホマ州に戦争の帰還兵であるアーネスト・バークハートが訪れる。
彼は仕事を探し叔父のウィリアム・ヘイルを訪ねてきたのだった。
ヘンリー・ローンに送られアーネストはウィリアム・ヘイルの家に到着した。
ウィリアム・ヘイルはこの地域一帯で絶対的な権力を持っており、周りからはキングと呼ばれていた。
キングはアーネストに女は好きか?と聞きインディアンの女性と結婚すれば分配受益権が手に入るという趣旨の話をした。
その後、アーネストに運転手として仕事をするように伝えた。
アーネスト・バークハートとモーリー・カイルの出会い
運転手としてオセージ族の送り迎えをすることになったアーネストはある時、オセージ族のモーリー・カイルと出会う。
彼女のことを何度か送り迎えをしているうちに親しい関係になっていく。
そんな中で、キングに呼び出されたアーネストはモーリーの母が受益権を持っておりモーリーにもその権利が回ってくることを聞かされる。
モーリーのことをどう思うかキングに聞かれたアーネストはいい人だと言う。
するとキングがモーリーは最近彼氏と別れたと話し、彼女と恋に発展してもいいのでは?という趣旨の話をした。
翌日、アーネストはモーリーを送っている時に彼女にアタックをするも、あなたは「ショミカシ(コヨーテ)」(お金目当ての小賢しい人)だと言われてしまう。
しかし、アタックを続けているうちにアーネストはモーリーから帽子をプレゼントされ一緒に食事をすることになる。
その後、付き合うことになった2人はさらに仲を深め結婚をしたのだった。
オセージ族を狙った連続殺人が起きる
モーリーの妹であるミニーは特異的な消耗性疾患を患っていた。
ミニーの夫であるビル・スミスは彼女の容体を心配していた。
程なくしてミニーは消耗性疾患の為、命を引き取ってしまうことに。
ある時、モーリーの姉のアナ・ブラウンが行方不明になり、1週間後に谷底で遺体として発見された。
死体は腐敗が進んでいたため身元特定には時間がかかるもその場に訪れたモーリーによって彼女がアナであることがわかる。
モーリーの死について地元保安官が捜査をするも結局犯人を捕まえる事ができなかった。
そんな状況の中、モーリーの母のリジーも日に日に元気がなくなっており、ミニーと同じような消耗性疾患を患っていた。
その後、リジーも息を引き取ってしまう。自然死なのか毒殺なのかは明かされることはなかった。
カイル一家が次々となくなったことにより、モーリーと妹のリタが受益権を継承することになった。
ビル・スミスは財産が目的なのかミニーの死後、リタと結婚した。
キングはこの状況を問題視し、リタとビル・スミスの殺害を依頼するようにアーネストに言う。
アーネストは爆弾を仕掛けることができる男に依頼をし彼らの家に爆弾が仕掛けられる。
この爆弾によってリタとビルの家は爆破され、使用人の死体と焼けただれたビル、そして既に亡くなっているリタが発見された。
この一連の事件によってカイル一家の生き残りはモーリーだけとなり、母、姉妹の受益権を全て相続することになった。
悪化するモーリーの糖尿病
糖尿病の持病を持っていたモーリーは以前から食事などには気を付けていたが段々と体調が悪化していた。
キングが知り合いの医者から取り寄せた世界で5人しか使用する事ができない「インスリン」を投与し症状が改善しないかと様子を見ていた。
モーリーは知らない医者から注射を打たれることを嫌い、夫のアーネストに毎日インスリン打ってもらっていた。
アーネストはキングに呼び出されると今日から毎日一瓶この薬をインスリンに混ぜろと毒薬を渡される。
アーネストは言われるがままに、その薬を混ぜ彼女に毎日打ち続けていた。
薬を打ち始めてから彼女の容体はどんどんと悪化していった。
連邦政府に捜査協力を依頼するオセージ族
連続殺人事件が起こるも事件は解決に向かわなかった。
オセージ族はその状況を何者かが資産を狙って起こしている事件なのではないか?と考え連邦政府に捜査協力を依頼する為にワシントンD.C.に行くことに。
すでに糖尿病で衰弱しきっていたモーリーも他のオセージ族と共に同行した。
連邦政府に依頼をすると数ヶ月後に捜査局が立ち上げられオクラホマに派遣されてきた。
捜査官トム・ホワイト
捜査官のトム・ホワイトは捜査を進める中で地元の有力者であるキングに目をつける。
彼が事件に関係していると踏んだトムは捜査を続け、一件の殺人事件の犯人に辿りついた。
彼はアーネストとキングに依頼されて殺人をしたと証言したことからアーネストが容疑者として捕まることになる。
逮捕される前にキングに呼び出されたアーネストは彼に逮捕されても必ず助け出すと言われていた。
アーネストはその言葉を信じ捜査局の尋問にも何も答えなかったが別の実行犯が口を割ったことによりアーネストも真実を語りだす。
その自白によって叔父であるキングも逮捕されることになったのだった。
証言台に立つアーネスト
アーネストが逮捕され勾留されている間に、妻のモーリーは体調が急変していた。
病院に運ばれたモーリーはなんとか一命を取り留め病院で療養をしていた。
アーネストは家族に会いたいという思いから全ての元凶は叔父であると証言することを決めた。
捜査局は証言してくれるなら家族に会えるようになると取引をして裁判の日まで彼を誰にも見つからない場所に移動させた。
裁判になり、証人としてアーネストが現れるとキングの弁護士は対話する機会がほしいと言い裁判は休廷になった。
その後、アーネストは弁護士や家族達と話し、キングを守る為に証言はしないことに決める。
再び、勾留されることになったアーネストだったがそこに訃報が舞い込んでくる。
彼の子供が亡くなってしまったのだ。
その知らせを聞いたアーネストは怒りをあらわにした。
葬式に出席したアーネストは妻モーリーや子供たちの姿を見て彼らを守り共に暮らしていきたいと自覚する。
アーネストはキングを守ることを辞め、妻や家族と生活していく道を選んだのだった。
彼が裁判で証言したことでキングは有罪の判決が下り終身刑を言い渡された。
アーネストも同じく有罪になったが数年後に恩赦を受け出所している。
ラジオショー
これらの事件の結末をラジオショーのコメンテーターが寸劇で伝える。
事件のその後を伝えるこの番組で物語は終わるのであった。
映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の感想・解説
マーティン・スコセッシ監督の最新作である今作は実話を基に製作されたストーリーである。
リアルなアメリカの20世紀前半を描き出している感じがして映像としてはかなり好きだった。
オイルマネーを巡った抗争によって搾取されていたオセージ族、そして彼らから富を奪おうと奔走する白人たちの姿はリアルで没入できた。
アーネストを演じるレオナルド・ディカプリオの演技が秀逸で常に家族とキングの策略との間で葛藤しているようなあの表情は何もかも上手くいかない不幸な男が再現されていた。
アーネストはキングから逃れられず犯罪に手を染めてしまっている一方で妻モーリーのことは心から愛しているように映像からは伝わってきた。
マーティン・スコセッシ監督×レオナルド・ディカプリオと言えば最後のどんでん返し!ってイメージが強すぎて期待値が高すぎたせいかラストの展開が見えすぎていて少し残念な部分もあった。
ただ、ラストのラジオショーの演出は個人的にはかなり好きで、マーティン・スコセッシ監督自ら出演し彼の語りで結末を締めくくるのは良かった。
今作の構想段階ではディカプリオが連邦捜査官役を担う予定だったそうだ。
個人的な意見だがそっちの方が映画としては面白かった様に感じる。スコセッシ監督のスカッとするラストはそちらの方が描きやすかったのでないだろうか?
ただ、ディカプリオ本人がこの事件の一番描くべき部分は外部からきた白人の警官が事件を解決することではないと言ったことから配役、ストーリーが変わったそうだ。
彼の作品に対する情熱が伝わってくる。
レオナルド・ディカプリオとロバート・デ・ニーロだったから3時間半耐えることができたのではないだろうかと思っている。彼らの演技でなければ早々に離脱していたかもしれない。
ただ、彼らの演技に負けず存在感を放っていたモーリー・カイルを演じるリリー・グラッドストーンの演技も良かった。
モーリーにインスリンを打ち続けていたアーネストはそれが毒だと気づいていたのか?気づかず打っていたのかはかなり気になる部分である。
薬を酒に入れて飲んで確かめている描写があったが、あれはどっちなんだろう…
まとめ
今回は2023年10月20日に公開された新作映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』をご紹介しました。
豪華キャストとマーティン・スコセッシが贈る実話を基にした今作はヒットすること間違いなしだと感じました。
ただ、3時間半という上映時間が鑑賞のネックになるような気がします。
先住民と白人の当時の姿をリアルに描いておりキャスト達の演技も絶品なので是非一度鑑賞して欲しい。
最後までご覧いただきありがとうございます!
次回の記事でお会いしましょう!
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