今回ご紹介するのは映画『アステロイド・シティ』です。
映画『グランド・ブダペスト・ホテル』でアカデミー脚本賞にノミネートされたウェス・アンダーソン監督の最新作をご紹介いたします!
映画『アステロイド・シティ』の作品情報
作品情報
作品名 | アステロイド・シティ |
原題 | Asteroid City |
監督 | ウェス・アンダーソン |
脚本 | ウェス・アンダーソン |
出演 | ジェイソン・シュワルツマン スカーレット・ヨハンソン トム・ハンクス ジェフリー・ライト ティルダ・スウィントン ブライアン・クランストン エドワード・ノートン エイドリアン・ブロディ |
製作国 | アメリカ |
公開日時 | 2023年9月1日 |
上映時間 | 104分 |
映画『アステロイド・シティ』の登場人物とキャスト
写真 | 役名・キャスト・概要 |
---|---|
オーギー・スティーンベック (ジェイソン・シュワルツマン) 妻を亡くしたばかりの戦場カメラマン。息子ウッドロウと3人の娘を育てる父親。 | |
ミッジ・キャンベル (スカーレット・ヨハンソン) 人気女優でありダイナの母親。 | |
スタンリー・ザック (トム・ハンクス) オーギーの義父。 | |
コンラッド・アープ (エドワード・ノートン) 舞台劇「アステロイド・シティ」の作者である劇作家。 | |
シューベルト・グリーン (エイドリアン・ブロディ) 舞台演出家。 | |
ヒッケンルーパー (ティルダ・スウィントン) アステロイド・シティの天文台に務める科学者。 | |
ウッドロウ (ジェイク・ライアン) オーギーの息子。天才子供科学者。授賞式のためにアステロイド・シティに訪れる。 | |
ダイナ・キャンベル (グレース・エドワーズ) ミッジの娘で子供ながら天才科学者。授賞式のためにアステロイド・シティに訪れる。 |
映画『アステロイド・シティ』のあらすじ
舞台「アステロイド・シティ」
1950年代のアメリカであるテレビ番組の放送がはじまり司会が語り始める。
今夜の番組では新作舞台「アステロイド・シティ」の制作過程を放送するそうだ。
この舞台は「アステロイド・シティ」という架空の街に集まった人々を描く群像劇となっている。
この舞台の台本を書いた劇作家のコンラッド・アープが、作品について語り始め、舞台背景と登場人物を説明するとアステロイド・シティを走る列車の映像が流れ物語が始まる。
1955年アステロイド・シティ
アステロイド・シティは一面が砂漠で覆われた田舎町だった。
アステロイド・シティは紀元前3007年に隕石が落下してできた巨大なクレーターが観光名所となっているが人口はたった87人しかいなかった。
時は1955年の9月、ネバダ州にあるその町では隕石が落下した日のお祝いに合わせてジュニア宇宙科学大会の授賞式が開催されようとしていた。
そのため、受賞者の5人の少年と少女、そしてその親族が招待されこの街にやってきていた。
オーギー・スティーンベック
受賞者の1人である、ウッドロウの父親で戦場カメラマンのオーギーは3週間前に妻を亡くしたばかりだった。
オーギーはウッドロウと3人の幼い妹を連れてアステロイド・シティに向かっていたが途中で車が故障してしまう。
なんとかレッカーで車を引っ張ってもらい街に到着した。
妹たちを義父のスタンリーの家に預ける予定だったが、車が修理不能になってしまったことで代わりにスタンリーに迎えに来てもらう必要があった。
電話でスタンリーと話すと、義父は子供たちの様子を尋ねる。
しかし、オギーはまだ子供達に妻が亡くなったことを伝えていなかったのだ。
彼が子供たちに妻の死を伝えていないことがわかるとスタンリーはタイミングを見て話すように勧めるが、いいタイミングなどあるはずもなかった。
オーギーの妻は闘病の末、3週間前に亡くなったばかりだったのだ。
その後、なんとかウッドロウと娘たちに妻の死を告げる。
しかし、まだ幼い娘たちは状況を理解できていない様子だった。
ミッジ・キャンベルとオーギーの出会い
オーギーがダイナーで食事をしているとそこに女優のミッジ・キャンベルが現れる。
彼女も娘が科学賞を受賞したことによってアステロイド・シティに訪れていた1人だった。
オーギーは彼女を見ると突然カメラのシャッターを切った。
すると、それに気づいたミッジが「撮ったでしょ?」と話しかけ、それをきっかけに彼らは話をするようになった。
ジュニア宇宙科学大会
ついに授賞式のセレモニーが始まった。
クリフ・ギブソン将軍が子供たちの発明品を次々と表彰した。
表彰された5人の少年、少女の1人だったウッドロウも科学賞をもらう。
授賞式は泊まりがけで企画をされておりイベントの最後に最優秀者に奨学金が授与されると発表された。
その後、天文台の科学者であるヒッケンルーパー博士が紹介され、博士は観測機器を説明する。
ウッドロウはその機器が地球外に生物が存在していることを示唆しているのではないかと伝えた。
授賞式が終わると少年たちは集まってランチをとっていたが、ウッドロウはシャイな性格から彼らとは離れた場所で1人で食事をしていた。
しかし、周りの少年たちに誘われて一緒に食事をしたりゲームをしたりと徐々に彼らと打ち解けるようになった。
一方、オーギーとミッジは隣のモーテルに泊まることになり、窓越しに会話をするようになった。
オーギーの娘たちは3人で魔女ごっこをしており、母親を甦らせるために埋葬をしたり儀式をしたりしていた。
すると、そこに彼女たちの祖父であるスタンレーがが到着し、娘をこんなところに埋めるなと遺骨を回収しようとした。
しかし、彼女たちはもう抗議をしスタンリーは仕方なくその場に遺骨を埋めることを、あとで持ち帰ることを条件に同意した。
天体観測
夜になるとアステロイド・シティの観光名所である隕石クレーターの中でヒッケンルーパー博士によって天体観測のイベントが始まった。
集まった人たちはみんなで箱のような装置を被り、星空を見上げて観測をしていた。
すると、明らかに星ではない緑色の光がウッドロウが被っている装置に差し込んできた。
気になったウッドロウが装置を外すと周りも続々と装置を外し、星空を見上げた。
すると、そこには緑色にひかるUFOが真上まで飛来していたのだ。
徐々に近づいてくるUFOから突然、1人のエイリアンが降りてくると、アステロイド・シティに落ちたとされ展示していた隕石を持ち去り、その場から飛び去っていったのだ。
驚きの光景を目撃した人たちはその一部始終を見つめるだけで唖然としていた。
そんな中でただ1人、オーギーは咄嗟にエイリアンの写真をカメラに収めたのだった。
軍による隔離
翌日になると軍はアステロイド・シティ一帯を封鎖し参加者を軟禁状態にして情報漏洩を防ごうとした。
しかし、宇宙人の写真を撮影していたオーギーはその写真をすでにエージェントに郵送しており、科学賞を受賞した少年たちも様々な機器を使用して情報を学校新聞に伝えていたのだった。
軟禁状態になっている最中、オーギーは隣のモーテルにいるミッジと窓越しに会話をしたり演技の練習に付き合ったりなどして過ごしてた。
その一方で、隔離生活に痺れを切らした超天才の少年たちの親は子供たちの発明品を手に取り軍に対抗しようとしていた。
そんな状況を加味して拘束されていた人々は再びジュニア宇宙科学大会の会場に集められると明朝に拘束がとかれ解放されることが決定したと発表された。
人々が歓喜している最中、再びUFOが現れ、奪っていったはずの隕石を落として去っていったのだった。
すると、その場にいた目撃者全員の拘束解除が延期となることが決まるとそこにいた人々は暴れ始めたのだった。
複雑な感情の役作りに悩むオーギー役の役者
その騒乱の隙に役作りに悩んでいたオーギー役の俳優はセットの裏に戻り演出家に自分の役が理解できなくなったと訴える。
しかし、演出家に今のままでいい、完璧な演技だと伝えられ演じることがさらに分からなくなったオーギー役の俳優は劇場の外の階段に飛び出した。
そこにはオーギーの妻役として出演するはずだった女優がたまたまタバコを吸っており彼は彼女と話し込んだ。
妻役の女優から繰り出されるセリフによって死んでいった愛妻との会話の場面を思い出しオーギーの心を幾ばくか軽くなり彼は再び舞台に戻っていったのだった。
場面がテレビ番組に移るとそこでは俳優たちがセミナーで討論をしていた。
その中で目覚めたければ眠れというロジックに辿り着くと参加者たちは次々に「目覚めたければ眠れ」と唱和したのだった。
拘束の解除
翌朝になり、オーギーが目覚めると隣のモーテルにいたミッジ・キャンベルの姿はなかった。
軍人やジュニア宇宙科学大会に参加していた少年少女たちの姿もない。
モーテルの片付けをしていた支配人に状況を聞くと深夜のうちに拘束の解除が発表されたことによって皆が早朝に帰っていったそうだ。
最優秀者発表の式典は延期になっており結局開催されていなかったがその奨学金はウッドロウが獲得し小切手を受け取っていた。
オーギーは妻が亡くなったことで、義父のスタンリーに子供たちを預ける予定でいたが家族の絆はより一層深まり全員で家に帰ることになったのだった。
映画『アステロイド・シティ』の感想
一番初めに見た時の率直な感想は、「結局何が言いたい?」「これで終わり?」だった。
登場人物の数が多すぎるのと、劇中劇という設定で物語が入り組みすぎていることが原因で難読な映画となってしまっている。
シンプルに理解をしたい人にとってはあまり向かない作品だなと感じる一方で、映画を深く理解し、美しい映像であったり、複数いる登場人物たちの関係性を細かく理解したい人にとっては刺さる作品だと思う。
個人的にはストーリーよりもほのぼのとした映画の世界観であったり、映像の色味が他の監督の作品とは違い、ウェス・アンダーソン監督作品らしいなと感じて良かった。
劇中劇の構造で理解するのに時間を要したがウェス・アンダーソン監督が最も表現したかったシーンは息苦しくなって舞台を飛び出したオーギーとそこにいた亡くなった妻役のマーゴット・ロビーのシーンではないかと思う。
「アステロイド・シティ」に出番があるはずだったマーゴット・ロビーだが、彼女のシーンは全カットになってしまっており、役のために覚えたセリフをオーギーに披露する。
覚えていたのに全カットになってしまった嫌味で披露しているシーンなのだが、そのセリフは妻からオーギーを励ます言葉になっているのだ。
これを受け、舞台に戻ったオーギーは彼女の言葉に少なからず励ましを受けて前向きになっていたように感じた。
その後、どうなったかまでは分からず劇中劇の最中で物語は幕を閉じるのだが、結末がわからない終わり方で逆に想像を掻き立てており良かった。
全体として物語の世界観、映像の色味や表現がかなりオシャレでハマる人にはドンピシャでハマるだろうなと感じた。
まとめ
今回はアステロイド・シティをご紹介してきました!
ウェス・アンダーソン監督節が全開で好き嫌いははっきりと分かれそうな作品でした!
人によって、感性によって感じ方は様々あるので誰かと一緒に鑑賞し感じたことの意見交換をするのも面白いかもしれません。
個人的には映像の質感や色味がかなり好みでした。
何回も見てさらにストーリーに対する理解を深めたいと感じさせてくれる作品でした。
最後までご覧いただきありがとうございます!
次回の記事でお会いしましょう!
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