映画『ベイビー・ブローカー』注目女優IUを迎えた是枝裕和監督作品のあらすじとキャスト、感想(ネタバレ)を紹介!

家族のように行動をする一行 ヒューマンドラマ
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シスネ編集長
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今回ご紹介するのは映画『ベイビー・ブローカー』です。

注目の韓国女優IUをキャスティングした是枝裕和監督の注目作品をネタバレ有りのあらすじと感想・解説で紐解きます!

映画『ベイビー・ブローカー』の作品情報

ベイビーブローカー ポスター
(C)2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

作品情報

作品名 ベイビー・ブローカー
原題 Broker
監督 是枝 裕和
脚本 是枝 裕和
出演 ソン・ガンホ
カン・ドンウォン
ペ・ドゥナ
イ・ジウン
イ・ジェヨン
製作国 韓国
公開日時 2022年6月24日
上映時間 130分

 

映画『ベイビー・ブローカー』の登場人物とキャスト

写真役名・キャスト・概要
サンヒョンハ・サンヒョン
(ソン・ガンホ)
表ではクリーニング屋を営む一方で借金返済の資金集めの為、ブローカーをしている。
ドンスユン・ドンス
(カン・ドンウォン)
養護施設出身。教会で働き乳児をサンヒョンに横流ししている。
スジン
アン・スジン
(ぺ・ドゥナ)
ブローカーを捕まえるために張り込みを続ける女刑事。
ソヨンムン・ソヨン
(イ・ジウン/ IU)
赤ちゃんをベイビーボックスに捨てた母親。売春などで生活をしていた。
イ刑事
イ刑事
(イ・ジュヨン)
スジンの後輩刑事。
ウソンウソン
(パク・ジヨン)
ソヨンの赤ちゃん。
ヘジン
ヘジン
(イム・スンス)
ドンスと同じ施設で育った男の子。

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映画『ベイビー・ブローカー』のあらすじ

人身売買をするサンヒョンとドンス

土砂降りの雨の中1人の女性が自分の息子である乳児のウソンを教会の赤ちゃんポストの前に置き去りにして立ち去った。

教会に張り込みをし、その一部始終を見ていた女性刑事、アン・スジンは後輩のイ刑事に彼女の後を追うように指示をした。

スジンは外に置き去りにされた乳児をポストに入れその後も張り込みを続けたのであった。

教会の中では中年の男ハ・サンヒョンと若い男ユ・ドンスがいた。

彼らは乳児を高額で売り捌くブローカーだったのだ。

彼らはポストに入れられていた乳児を抱き上げあやしていた。

乳児には「ウソン、必ず迎えに行くから」という手紙が残されていた。

ドンスは自分が施設で育った過去があり、手紙を残して迎えにくる親はほとんどいないと知っていた為、子供を欲しい夫婦に高額で乳児を売ることを望んでいたのだ。

ドンスは施設の監視カメラの映像を全て削除し、サンヒョンと共に乳児ウソンを連れ施設を後にする。

人身売買を追うスジンとイ刑事

張り込みをするスジンとイ刑事
(C)2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

サンヒョンとドンスが人身売買をしているという情報をつかんだスジンはイ刑事と共に彼らを尾行することにした。

彼らを検挙する為には現行犯で捕まえるしか方法がない為、長時間の張り込みをする必要があった。

その頃、ウソンを教会の前に置き去りにして捨てた母親の女性が思い直して教会の施設に訪れる。

日曜日の夜勤を担当していたドンスが施設を案内するも彼女の息子ウソンはいなかった。

ポストの外に置き去りにしたのが理由だと言われると彼女は施設から立ち去った。

ドンスは彼女の後をつけていると警察に相談しようとしたことからドンスはサンヒョンのところに彼女を連れていき、子供に会わせブローカーをしていることを打ち明けた。

サンヒョンとドンスは子供に恵まれない夫婦に預けることで大切に育てられるといい、善意の活動だと言った。

ウソンの母親は自らをソナと名乗り、ウソンを育てられないが養子になる親の人柄などが気になり彼らのついて行くことになる。

ベイビーブローカーの旅が始まる

交渉相手と港で話し合うサンヒョンとソヨンとドンス
(C)2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

子供を欲しいという相手と交渉に向かう為、旅行に行く支度をしていると暴力団の組員がサンヒョンの借金を取り立てにくる。

サンヒョンは金を返せる当てがあるからもう少し待って欲しいと言うと暴力団の1人が血まみれのシャツをクリーニングするように言った。

車に乗り込んで取引場所の港に着いた彼らは交渉相手の夫婦と対面する。

夫婦は乳児のウソンを見て眉毛が薄いし写真ほど可愛くないと言い、父親の職業やレイプじゃないか?などのケチをつけ値引きを要求してきたのだった。

彼らの言動を聞いていた母親のソナは夫婦に対して怒りを露わにし彼らに罵詈雑言を浴びせた。

ドンスが育った児童養護施設へ向かう一行

夫婦との取引が決裂した一行はドンスが幼少期に育った児童養護施設に顔を出すことにした。

ドンスは施設の子供達のほとんどが親から必ず迎えに来ると手紙があったことで施設送りにされてしまった子だと話し、手紙を残したソナに対して厳しく批判をした。

するとソナもドンスに言い返し口論になってしまう。

それを見たサンヒョンがドンスも過去に手紙があったことで施設送りにされ母親が迎えにこなかった1人だと教える。

翌日になりソナはドンスに前日のことを謝ったのだった。

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おとり捜査を仕掛けるスジン

スジン
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彼らは児童養護施設を後にして次の夫婦の元へ向かうことにする。

車で出発をしてから次の交渉相手について車内で話しているとサンヒョンが突然車を止めた。

違和感を感じ、車の荷台を開けるとそこには施設の少年ヘジンが乗っていた。

ウソンを売る話の一部始終を聞いてしまっていた為、ヘジンもこの旅に同行することになる。

一方、スジンとイ刑事は偽の夫婦を交渉相手として仕込んでいた。おとり捜査を成功させる為、夫婦は夫の不妊治療がうまくいかなかったという設定にした。

会場に向かう途中で警察に止められてしまうがヘジンの演技によって家族に見え、警察官も彼らを解放した。

リゾートホテルで落ち合うことになった一行と偽夫婦だったがドンスが夫に対して不妊治療の方法を聞くと彼らはとんちんかんな答えを返した為、子供を転売するために騙しているとして取引を中止した。

彼らは取引相手を探して再び車で旅をすることになる。

次の街に向かう最中に警察に止められた時に免許証の名前を読まれサンヒョンが偽名だ気付いたソナは自分も本名はムン・ソヨンだと告白した。

ウソンの父親の正体

ソヨンがコンビニで買い物をしているとウソンの父親である男の妻から電話がありウソンを売るように言われる。しかし、ソヨンはその電話を切った。

その頃、釜山のホテルで暴力団幹部が殺されているのが見つかったとニュースになっていた。

刑事のスジンはソヨンが犯人ではないかと考え、彼女と接触し情報を流すように交渉した。

ソヨンは自分が殺人犯でウソンの父親を殺したとドンスとサンヒョンに打ち明けた。暴力団幹部だったウソンの父親を殺しその妻がウソンを高額で購入しようとしていることを告げた。

この話が気がかりだった2人は車に行くと盗聴器が仕掛けられていることに気付く。2人は金だけじゃなく良い親を探してやろうと決心したのだった。

車にGPSが仕掛けられていたことにも気付き彼らは車を乗り捨て次の夫婦に会うために電車でソウルまで移動することにした。

ソウルで新たな夫婦と面会をすることに

交渉をするサンヒョン、ドンス、ソヨン、ヘジン
(C)2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

ソウルで夫婦と面会をすると夫人が死産をしたっばかりだと話しをし、次を考えることができない為、養子にもらいたいと話した。

夫人はウソンを可愛がり授乳をして良いかとソヨンに聞くと母乳を与えた。

夫はウソンを実子として育てたいので今後はソヨンに会ってほしくないと告げた。

これを聞いたソヨンはウソンを大切に扱ってくれる夫婦に安心する一方で複雑な気持ちが芽生えていたのだった。

サンヒョンはソヨンがウソンに話しかけているところを見たことがないと指摘した。

ソヨンはウソンは言葉が分からないし何を話しかければ良いのか分からないと言った。

するとサンヒョンは「生まれてきてくれありがとう」と声をかけるのはどうかと提案する。

するとヘジンが皆に言ってほしいと言い出した。

するとソヨンはベットに横になり電気を消して順番に1人ずつ名前を呼びながら「生まれてきてくれてありがとう」と言った。

全員への言葉を言い終えるとヘジンがソヨンに「生まれてきてくれてありがとう」と声をかけ眠りにつくのであった。

皆が寝たころソヨンは1人でホテルを抜け出し警察と接触する。サンヒョンはそれに気付きドンスに伝えた。

ウソンの引き渡しの日

受け渡し当日
(C)2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

引き渡しの日になるとソヨンの姿はなかった。サンヒョンはウソンを抱きかかえドンスとヘジンと出かけようとすると暴力団組員の男が現れる。

ウソンを渡すように迫る組員に対してサンヒョンは取引を持ちかけるように見せかけてドンスたちを先に行かせた。

ドンスはとヘジンはウソンの引き渡しの為にホテルの一室に訪れる。昨日会った夫婦と再び再会し交渉に入る。夫は昨日の言葉は撤回しソヨンにいつでも会いにきてもらって構わないと告げた。

ウソンには嘘をつきたない「捨てられたのではなく、守られたのだ」と伝えて育てると夫婦は言った。

取引が成立するかと思えたその瞬間部屋のベルがなる。誰かが来たと確認をしに行くとそこには警察の姿があった。

ドンスは人身売買の容疑で逮捕されてしまうことになった。

ドンスがソヨンの居場所を聞くと彼女は自首してきたのだとスジンは伝えた。

取引現場に現れなかったサンヒョンはその後も行方不明のままだった。

ソヨンが逮捕され3年が経過…

ウソンはスジンによって育てられることになった。

ウソンをスジンが育てるようになり3年が経ったころ、ソヨンは刑期を半年は早めて出所していた。

ソヨンはガソリンスタンドで仕事をするようになっていた。

そんなある日、スジンからソヨンに宛てた手紙が届く、そこにはウソンの将来についてみんなで考えたいから公園に集まろうという内容だった。

ソヨンは公園につき集合場所に向かおうとしていた。それを見守るように一台のクリニーング店の車が公園の脇に止まっていたのだった。

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彼らがブローカーとして人身売買する理由とは?

サンヒョンがベイビーブローカーをする理由とは?

サンヒョン
(C)2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

サンヒョンが人身売買するのは善意だと言っているシーンがあるが、本当の理由として考えられるのは借金を返済する為の資金集めであると言える。

サンヒョンには娘と別れた妻がいる。

サンヒョンは彼らと再び一緒に生活する為に借金を返済することが目的である。

ドンスがベイビーブローカーをする理由とは?

ドンス
(C)2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

ドンスが教会で働く傍らベイビーブローカーを続ける理由は児童養護施設で育った過去が関係している。

ドンスはウソンと同じように捨てられた子供の1人だった。

ドンスの母親もソヨンのように手紙でいつか迎えに来ると書いていたのだが結局迎えに来ることはなかった。

その手紙によって児童養護施設に送られ養子になれない子供たちを救いたいという思いが過去の経験からある為、ドンスはベイビーブローカーを続けているのではないかと考えられる。

ソヨンがウソンを捨てる理由とは?

ムン・ソヨン
(C)2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

ソヨンが自分の息子であるウソンを売ろうとしている理由は単純に金銭面で厳しいことや子供を育てたくないという理由ではない。

彼女がウソンを捨てた本当の理由は彼女自身が殺人犯である為である。

彼女は暴力団組員の男性と不貞により妊娠した子供がウソンであった。

その後、暴力団員の男を殺したソヨンは自らの手でウソンを育てることができないと考え、当初は赤ちゃんボックスに子供を置きざりにしていずれ戻ってこようと思っていたのではないだろうか?

また、サンヒョンやドンスと行動を共にする中でより良い条件でウソンが育てられることを求めていたことからウソンのことを思いブローカーについて行動していたと言えるだろう。

それに加え、ウソンの父親の妻にあたる女性にウソンを奪われたくないという気持ちも少しばかりあったのではないだろうか?

彼女は本心ではウソンの幸せを願い安全でより良い条件で育てられることを望んでいたに違いない。

最終的にはスジンにウソンを託し、刑務所に服役することになった。

映画『ベイビー・ブローカー』のラストシーンの意味とは?車に乗っているのは誰?

ラストシーンはどういう意味?車の運転をしていたのは誰?という疑問が残るラストのシーンについて解説をしていきたい。

ラストシーンはウソンを取り巻いてきた大人たちがウソンの将来について話し合う為に公園に集まろうという内容である。

ドンス、ヘジンにもその旨の連絡はしており、彼らに加えおそらくユン夫婦、スジンそしてソヨンが公園に集まろうとしていた。

公園に向かうソヨンを見守るかのように公園の脇に停められたいた一台の車、ルームミラーにはみんなで撮った写真が飾られていた。

この車の運転していたのはおそらく事件後に失踪したサンヒョンだろうと予想できる。

彼らの元には現れず失踪していたサンヒョンだったがどこかで共に旅をしたみんなの事を思いながら生きているという事を示唆していると考えることができる。

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映画『ベイビー・ブローカー』の感想・解説

家族のような一行
(C)2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

是枝裕和監督の韓国での作品である今作はベイビーブローカーとして生活する人々とひょんなことからそれに同乗することになった母親、そして施設育ちの子供が家族のような関係になっていく。

それぞれが問題を抱えており家族のような安らぎの場所を求めていたのではないだろうか。

施設育ちのドンスやヘジン、母が刑務所に行き帰ってこなかったソヨンと彼女に捨てられたウソン、そして家族とは別居しているサンヒョン彼ら5人はそれぞれ1人だったのだ。

彼らはある意味居場所を求めて共に旅をしていたのかもしれないと感じた。

「生まれてきてくれてありがとう」そう言い合う場面は彼らが心から求めていたものなのではないだろうか。

また、人身売買という社会問題を題材にしており生まれてきた命を使い金稼ぎをしていいのだろうか?という感情の一方で施設で暮らし一向に貧困から抜け出せない層が一定数いることも表現しており彼らにとっての正解はどちらなのかと考えさせられた。

養子になったからと言って必ずしも幸せとは限らないが施設で暮らし寂しい思いをしている子供たちも多いのだろうと感じた。

非現実的な内容ではなく一歩先の現実に存在しているような描写を描き出す是枝監督の表現は素晴らしい。

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まとめ

ソン・ガンホ、IUなどが出演し注目を集めた是枝裕和監督のベイビーブローカーを解説してきました。

人身売買という大きなテーマを取り上げながらも擬似家族という構造を描いていた。

それぞれが悩みや葛藤を抱える中でも誰しもが「生きていて良いんだ、生まれてきてくれてありがとう」そう訴えかけてくれるような作品だった。

日常のリアルな描写とその延長線上で起きている社会問題を描きだした作品だった。

シスネ編集長
シスネ編集長

最後までご覧いただきありがとうございます!

次回の記事でお会いしましょう!

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コメント

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