今回ご紹介するのは映画『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』です。
映画界に蔓延るセクハラ問題を描いた注目作品の感想とネタバレ有りのあらすじをご紹介!!
『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』の作品情報
(C)Universal Studios. All Rights Reserved.
作品情報
作品名 | SHE SAID/シー・セッド その名を暴け |
原題 | She Said |
監督 | マリア・シュラーダー |
脚本 | レベッカ・レンキェビチ |
出演 | キャリー・マリガン ゾーイ・カザン パトリシア・クラークソン アンドレ・ブラウアー ジェニファー・イーリー サマンサ・モートン |
製作国 | アメリカ |
公開日時 | 2023年1月13日 |
上映時間 | 129分 |
『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』のキャラクターとキャスト
写真 | 役名・キャスト・概要 |
---|---|
ミーガン・トゥーイー (キャリー・マリガン) ニューヨーク・タイムズ紙の女性記者。 | |
ジョディ・カンター (ゾーイ・カザン) ニューヨーク・タイムズ紙の女性記者。 | |
レベッカ・コーベット (パトリシア・クラークソン) ニューヨーク・タイムズ紙の編集局次長。 | |
ディーン・バケット (アンドレ・ブラウアー) ニューヨーク・タイムズ紙の編集長。 | |
ローラ・マッデン (ジェニファー・イーリー) ミラマックス社の元従業員で過去にセクハラを受ける。 | |
ゼルダ・パーキンス (サマンサ・モートン) ミラマックス社の元従業員。被害者の1人。 | |
アシュレイ・ジャッド (アシュレイジャッド) 本人役で出演。彼女の被害公表で事態が大きく動いた。 | |
ロウェーナ・チウ (アンジェラ・ヨー) ミラマックスの元従業員。被害者の1人。 |
『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』のあらすじ
女性記者ミーガンとジョディ
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ニューヨーク・タイムズ紙の記者ミーガン・トゥーイーは、トランプ候補のセクハラ疑惑についての取材を行っていた。
彼女はトランプからの罵倒や脅迫にさらされつつ、その取材を進めていた。
トランプが大統領に当選すると、多くの女性が彼と示談を結ぶことになる。
ミーガンは妊娠中にもトランプの記事を書く為に取材を行っていたのだった。
彼女が出産を終えた頃、同僚のジョディ・カンターから大物映画プロデューサーのワインスタインによる性的暴行の取材について助言をしてほしいと電話があった。
ジョディは被害者たちから話を聞く難しさに悩んでおり、ミーガンの支援を望んでいたのだ。
映画業界に蔓延るワインスタンのセクハラ事件
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産休明けのミーガンは、ジョディと共にワインスタインの調査を開始する。
ワインスタインは過去に事件を何度も隠蔽しており、被害を受けた女性たちは多くが示談と秘密保持契約に縛られていた。
これにより、彼女たちは訴訟や報復の恐れから口をつぐむことしかできなかったのだ。
ジョディとミーガンの上司のレベッカは、被害者たちが遠方に住んでいることを知り、ジョディに直接取材に行くよう指示する。
ジョディはロンドンでゼルダと会い話を聞いた。
ワインスタインからの性的な誘いを断ると虐待を受ける為、皆が怯えていたと被害者たちの実態が明らかになる。
彼女はセクハラを受けたロウィーナの状況を見て怒り、ワインスタインを呼び出して話をしたものの、弁護士から示談を進められる。
彼女は条件として同じ訴えが起きた場合女性を守るためのシステムを構築することを要求した。
しかし、その条件を飲むかわりに示談書のコピーは渡さないと告げられた。
ミラマックスを辞めた後、ゼルダは悪い噂に苦しみ、すべてを失ったとジョディに語る。
条件を含むコピーをジョディに渡した。
彼女は性加害者を守る法の問題に注目し、ジョディに全てを託してその場を去った。
過去に苦しむ被害女性たち
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乳がんで苦しんでいたローラは、最初は取材を断るが、後にジョディに連絡を取り、ワインスタインからの性被害を告白する。
彼女は若いころの自分が言いなりになったことを悔い、声を奪われた経験について語った。
ワインスタインからディーンに脅迫電話がかかってきていた。
被害女性たちは秘密保持契約を交わしており、ローラ以外はオンレコで話すことが難しかった。
ローラは秘密保持契約に署名していなかったものの乳がんの手術があり協力するのが難しい状況だった。
ミーガンたちはワインスタインの代理人ラニーと会い、犯罪性を否定しつつも示談が複数あったことを認めさせる。
ミーガンが後にラニーから8~12件の示談があったことを聞き出すことに成功する。
ジョディはロウィーナから連絡を受け、レイプの危険があった出来事やワインスタインについての情報を聞き出した。
ロウィーナは厳しい条件つきでミラマックスに戻り、孤独感に苦しんでいた過去を明かした。
ジョディはワインスタインの犯罪を知らせたアーウィンから携帯電話をもらい、中にあった写真を撮影しミーガンに情報を送ったのだ。
ワインスタインを告発する記事を作成
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ミーガンとジョディ、他の記者たちは、被害者からの告発を集まり聞いていた。肉声の告発を聞いた上司のディーンは記事の掲載を許可した。
ワインスタインには2日間の回答期限が与えられ、その後、記事を公開することが決定された。
ジョディは被害者たちがオンレコで告発をしてくれることを望んでいたが現状誰もオンレコで話をしてくれる人はいなかった。
記事が出る事を知ったワインスタインは電話で脅迫し、被害者などに事実確認をするには2週間以上必要だと猶予を求めた。
しかし、記者たちは2日間の期限を宣告し、電話を切った。
勇敢な女性たち
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そんな状況の中ある人物からジョディに対して電話がかかってきた。
電話をかけてきたのはアシュレイ・ジャッドで実名で記事に出る事を承諾たのだ。
ジョディは彼女に感謝の意を伝え。涙ながらに喜んだ。
ニューヨーク・タイムズ社以外のメディアも動き出しているという情報が入ってくる。
彼らは急いで取材を進めるも肝心なワインスタインからの回答はまだなく記事が出せなかった。
ローラは乳がんの手術直前にジョディとミーガンに連絡する。
彼女は秘密保持契約に署名をして発言できない女性たちのために自分が発言する意志を示した。
オンレコで告発してくれる人が現れた事によってより強力な記事を作ることができる状況となった。
この言葉を聞いて、ジョディとミーガンは涙ながらに抱き合った。
ワインスタインはどうなった?
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その後、ワインスタインからの回答がタイムズ社に届いた。内容は謝罪と休職について言及されていた。
問題が明るみになるとすぐさま退任をするというのは非常に姑息であった。
この回答を引用し、正式な記事が発行された。
記事が発行された翌月には82人の女性がワインスタインを性的暴行で告発した。
ミーガンとジョディの記事は#MeToo運動のきっかけとなり、多くの女性が体験を公にした。
これらの証言は職場の改善や法改正に寄与し、セクハラと性暴力の問題が広く議論されるようになった。
2020年2月にはワインスタインはニューヨークで強姦と性的暴行で23年の刑を言い渡され、ロサンゼルスとロンドンでも起訴されたのであった。
『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』の感想・解説
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ハリウッド映画界に蔓延っていたハーヴィ・ワインスタインのセクハラ事件を告発した記事を書いた2人の女性を追った物語。
この物語は実話である。
被害を受けた女性たちは恐怖やトラウマ、悲しみ、怒りなどを誰にも言えないまま何十年も抱えていたと考えると心が苦しい。
権力、金で全てを示談に持ち込み被害者達に告発させないように秘密保持契約を結んでいたワインスタインは劣悪だと感じた。
そんな状況の中でも、セクハラ問題に向き合い、記事にする為に地道に行動したジョディとミーガンの姿には感銘を受けた。
彼ら2人だけでなく、編集長やスタッフ総出で会議を重ねて記事を作り会社をあげて告発記事を出すという判断をしたこと自体賞賛されるべきことである。
権力に負けることなく行動した彼女達を日本のメディアも見習うべきではないだろうか?
昨今、話題となっているジャーニーズ事務所の性加害問題。
この事件も本当は当事者が存命のうちに問題として取り上げられるべきだったと思う。
以前から被害があったことを暗黙の了解で業界内では認識されていたそうだ。
それにも関わらず権力に負け、彼らの声を報道しなかったメディアには大きな問題があるのではないかと思う。
こういった状況を考えるとジョディとミーガンの行動は勇敢だったし、名前を出して訴えた女性達も偉大だ。
彼女たちの行動が#MeToo運動に火をつけたのも大いに理解できた。
作品としてはセクハラ事件を取り上げているのにも関わらず、レイプシーン、暴力シーンなどの描写は一切出てくることはない。
それらは被害者女性たちの告白やシーンの切り替わりなどで表現されていた。
冒頭のシーンは最も印象的で引き込まれる描写だった。
映画スタッフとなることができ生き生きとした表情から一変して恐怖で逃げ出す彼女の身に何が起きたのか気になり引き込まれる描写だった。
まとめ
この作品ではハリウッドで長年行われていたワインスタイン事件のセクハラ問題を権力に屈せず明るみに出した2人の記者の物語であった。
被害者は金都秘密保持契約によって声を上げられない状況を作られ苦しい時間を過ごしていた。
そんな中、地道な調査と取材によって被害者女性たちから事件の真相を暴き出し、記事にしたミーガンとジョディは勇敢であった。
この出来事がきっかけで#MeToo運動が活発になり多くの女性たちがセクハラの被害について告発するきっかけを作った。
現在の日本でもジャニーズ事務所の性加害が問題に上がっているがミーガンとジョディのように勇敢な行動をできる記者やメディアが出てきてほしいと改めて感じた。
映画としてだけではなく社会問題であるセクハラや性加害についても考えさせられる作品だった。
最後までご覧いただきありがとうございます!
次回の記事でお会いしましょう!
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