今回ご紹介するのは映画『バットマン ビギンズ』です。
クリストファー・ノーラン監督の大作アクション映画を解説して行きます。
『バットマン ビギンズ』の作品情報
(C) 2005 Warner Bros. Entertainment Inc. TM & (C) 2005 DC Comics. All rights reserved.
作品情報
作品名 | バットマン ビギンズ |
原題 | BATMAN BEGINS |
監督 | クリストファー・ノーラン |
脚本 | クリストファー・ノーラン デビッド・S・ゴイヤー |
出演 | クリスチャン・ベール マイケル・ケイン リーアム・ニーソン ケイティ・ホームズ ゲイリー・オールドマン キリアン・マーフィ トム・ウィルキンソン ルトガー・ハウアー 渡辺謙 |
製作国 | アメリカ |
公開日時 | 2005年6月18日 |
上映時間 | 140分 |
『バットマン ビギンズ』のキャラクターとキャスト
この物語の主要キャラクターを紹介していくよ!
写真 | 役名・キャスト・概要 |
ブルース・ウェイン/バットマン (クリスチャン・ベール) 父の死をきっかけに犯罪を憎む大富豪。 |
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アルフレッド・ペニーワース (マイケル・ケイン) ウェイン家に仕える執事 |
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ヘンリー・デュカード/ラーズ・アル・グール (リーアム・ニーソン) 影の同盟のリーダー。本当の正体はラーズ・アル・グールである。 |
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レイチェル・ドーズ (ケイティ・ホームズ) ブルースの幼馴染みで検察官の女性。悪に屈せず正義を貫く。 |
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ジェームズ・ゴードン (ゲイリー・オールドマン) ゴッサム・シティの中で唯一バットマンと協力関係を築き正義の為に戦っている警察官。 |
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ジョナサン・クレイン/スケアクロウ (キリアン・マーフィ) 精神医学、心理学の教授である一方で、薬物を使用して精神病を発症させるスケアクロウでもある。金のためにラーズの計画に加担する。 |
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カーマイン・ファルコーニ (トム・ウィルキンソン) ゴッサム・シティのマフィアを仕切るボス。警察ですら彼を捕まえることはできない。 |
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ルーシャス・フォックス (モーガン・フリーマン) ウェイン社の応用科学部門の社員であり、かつてブルースの父が社長だった頃は役員も務めた。応用科学部門で作った部品や製品をブルースに提供している。 |
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ラーズ・アル・グール (渡辺謙) 影の同盟の指導者。 |
日本を代表する俳優、渡辺謙も出演しているんだね!
『バットマン ビギンズ』のあらすじ
両親の死
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ゴッサム・シティは犯罪と暴力が支配する大都会であった。そんなゴッサム・シティ一番の大富豪であるウェイン家には1人息子のブルースがいた。
ブルースは幼馴染の少女レイチェルと共に家の庭で遊んでいると古い井戸の中に落ちてしまう。
井戸の中にはコウモリの巣がありブルースはコウモリの大群に襲われてしまう。
父によって井戸から助け出されるが、ブルースはこの出来事をキッカケにコウモリに対して恐怖心を抱くことに。
それを見かねた父は「人はなぜ落ちると思う?それは這い上がるためだ!」と声をかけ励ました。
ある時、ブルースは父と母と共にオペラの鑑賞に行くことになる。オペラを鑑賞していたウェイン一家であったがブルースは黒服の役者の演技を見てコウモリのトラウマを思い出してしまう。
怖くなったブルースは父に帰りたいと提案し、劇場の裏口から帰宅をすることに。
劇場を出るとそこには泥棒が待ち構えていた。銃を突きつけられ財布を出すように要求する犯人に父は財布を差し出すと更に母親の首飾りを要求してくる。説得しようとしていると犯人は父と母を銃殺し逃走してしまった。
父は最後に「恐れるな」と言い残し息を引き取ってしまうことに。
すぐに犯人は逮捕されますが自分が帰ることを提案したせいで両親が亡くなってしまったと感じていたブルースは心を閉ざしてしまう。
親代わりに先代の時から執事として務めていたアルフレッドがブルースを育てていくことになる。
公聴会
大学生になったブルースは両親を殺害した犯罪者チルの公聴会に参加する為、家に戻る。
チルが仮釈放になると知ったブルースは彼を殺害しようと服の袖に拳銃を隠し持って彼に近づこうとするがファルコーニの部下の女性がチルを殺してしまう。
チル最期を見届けたブルースはレイチェルからファルコーニが判事を買収していたという話を聞く。
ブルースは正義が行われたからファルコーニには感謝だとレイチェルに言うと彼女は正義ではなくただの復讐で悪の元凶がファルコーニだと言った。
ブルースはファルコーニの元に出向き自分は恐れていないと証明しにいくが、ブルースは何も出来ない上に両親を馬鹿にされ彼の元からつまみ出される。
これをキッカケに犯罪者の心理を知るため敢えて犯罪を繰り返すこととなる。
刑務所にて
時は流れ大人になったブルースは刑務所に収監されていた。
犯罪者の心理を知るためにあえて犯罪者へと身を堕とした彼の元にある男が現れる。
ヘンリー・デュカードと名乗る男は裏社会を支配する忍者集団「影の同盟」のボス、ラーズ・アル・グールの代理人であると話す。
彼はブルースの素性も犯罪者になった経緯も全て知っており、本当の道を見失っているのではないかと問いかける。彼はブルースに同盟に加入するよう誘った。
翌日、ブルースはデュカードの差金により釈放される。彼に言われた通りヒマラヤに咲く青い花を摘み取り山道を進み同盟の住処に訪れる。
影の同盟
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デュカードによって武術、忍術、戦闘術など数々の戦う術を叩き込まれたブルースはついに影の同盟の正式な仲間として迎え入れられることに。
修行の仕上げとしてブルースにある任務が課せられる。それは犯罪を犯し捉えられた男性の処刑だった。しかし、ブルースは裁判所にて裁かれるべきだと主張し彼の処刑を拒否した。
すると、ラーズはブルースを影の同盟に呼んだ本当の理由は腐敗したゴッサム・シティを破壊する為だと語る。ブルースは破壊するのではなく守るべきだと主張し、影の同盟の住処に火をつける。
ラーズはブルースと戦うも、倒れてきた瓦礫の下敷きになり死亡する。ブルースは逃走しようと考えるがデュカードだけは救い、燃え盛る建物から脱出することに成功する。
ブルースは麓の住人にデュカードを預け、アルフレッドに連絡しプレイベートジェットで迎えにきてもらう。
バットマンの誕生
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ゴッサムに戻ったブルースは父トーマスの意思を継ぎゴッサムから犯罪を撲滅することを決意する。
数年ぶりにゴッサムに戻ったブルースはウェイン社に入社する。社長代行をしていたアールはこのタイミングでブルースが保有する株を買い戻そうと株式公開を決断する。
一方、ゴッサムの法廷では精神科医であるジョナサン・クレインが担当する殺人犯を収容すべきではないと証言していた。彼はファルコーニと裏で取引をし、ファルコーニの手下の収監阻止を同様の手口で行っていた。
クレインとファルコーニは共謀してレイチェルの殺害を目論む。
何かシンボルを作り出しそれによって犯罪者に恐怖を植え付けることで犯罪が減ると考えたブルースはかつて自分が恐れたコウモリをモチーフにしたバットマンになることを決意する。
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ウェイン社の応用科学部を訪れ、父の代から在籍し以前は役員を務めたルーシャス・フォックスと出会う。フォックスにより会社に保管されていた戦闘用のスーツや武器、装甲車「タンブラー」を提供してもらう。これらを改造、改良しバットマンのスーツや武器を作り出す。
ブルースは無線でファルコーニと汚職警官の密会現場を盗聴しているとレイチェルを排除しようとしていることを知る。ブルースはファルコーニが麻薬の密輸現場の準備をしているところをバットマンの姿で襲撃する。
バットマンはファルコーニの手下を倒し彼のことを殴り気絶させる。その後、バットマンはファルコーニの手下に襲われているレイチェルを助け、判事とファルコーニの癒着現場を撮影した写真を彼女に渡した。
気絶したファルコーニはライトにくくりつけられその影がコウモリのように夜空を照らした。その後、駆けつけた警察官ゴードンによってファルコーニや彼の手下達は逮捕される。
警察に追われるバットマン
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ファルコーニが逮捕され謎の男によって襲われたという事実はニュースとして大々的に取り上げられることに。
市民の中でも様々な意見が挙げられたがゴッサム市警はバットマンを危険人物として逮捕しようとする。しかし、ゴードンだけは彼は警察の協力者であると信じていた。
バットマンとして戦ったブルースは身体中に多くのあざや傷を負うことになる。その傷やアザからバットマンの活動を悟られないようにする為にブルースは表でプレイボーイを演じることに。
毎晩、派手にホテルで豪遊し人気女優とスポーツカーを乗り回す日々を送る。そんな時、数年ぶりにレイチェルと再開してしまう。
彼女はブルースに、人の本性は行動で決まると言いその場を去った。
バットマンにやられ拘置所にいたファルコーニは精神疾患を患ったふりをしてクレインを呼び出す。彼と彼の雇い主が行っている人体実験の件をバラすと脅すも、クレインは彼に幻覚剤をかけ、ナローズ島の精神病院に収監させる。
バットマンはゴードンの自宅に訪れファルコーニの麻薬の半分がどこかに消えたことを伝える。その後、バットマンは薬の半分がナローズ島に送られていたと言う情報を入手し島に向かうことに。
ナローズ島のクレインのアジトに侵入し彼の部下を倒すことに成功したバットマンだったが、クレインがスケアクロウとなり幻覚剤をかけるとバットマンはコウモリに対するトラウマが蘇り更にスーツに火をつけられてしまう。
アルフレッドに助けを求めなんとか自宅に戻ったバットマン(ブルース)は、フォックスの作りだした解毒剤によって正気を取り戻すことに成功する。誕生日だったブルースの元にレイチェルが現れ、プレゼントとして思い出の品を渡し、ファルコーニを調べるためにナローズ島に向かうことを告げる。ブルースはバットマンの姿になり急いで彼女を追いかける。
精神病院に訪れたレイチェルはファルコーニを調べようとするが彼の様子は変わり果ててしまっていた。そこにクレインが現れると地下室に誘導される。地下室ではクレインの部下たちによって水道のパイプに薬が流し込まれていた。
その事を知ってしまったレイチェルはスケアクロウに変身したクレインに幻覚剤をかけられてしまう。そこへバットマンが登場し、クレインや部下たちを倒し黒幕の情報を聞き出す。黒幕の正体は死んだはずのラーズ・アル・グールだとクレインはバットマンに告げた。
バットマンはレイチェルを連れ病院を後にしようとするが警察に周りを包囲されてしまう。
ゴードンに薬物が水道から流されたことを伝えたバットマンはコウモリを呼び寄せ警察を撹乱させバットモービルでレイチェルを連れその場を脱出する。解毒剤をレイチェルに打つと彼女は回復した。
バットマンはレイチェルに2本の解毒剤を託し、1本はゴードン用にもう1本は解毒剤の大量生産用に使うように指示を出した。
再登場ラーズ・アル・グール
自宅に戻ったブルースはレイチェルをアルフレッドに託し、自らの誕生日パーティーに何事もなかったかのように参加する。フォックスは何者かによって奪われたマイクロ波放射器によって水道の水を気化し街中にガスをばら撒こうとしている者がいると気付く。ブルースはフォックスに解毒剤を大量に生産するとように依頼をする。
パーティーの最中、彼の元にデュカードが現れる。彼は自分が本物のラーズ・アル・グールだと告白し、山奥の隠れ家で死んだのは影武者だったと伝える。ラーズはブルースがバットマンであることを知っており、ゴッサムの水道を流れる薬物を気化し街を市民ともども滅ぼそうとしていることを明かした。
招待客に危険が及ぶと考えたブルースはわざと客を罵り帰るように仕向け逃がした。ラーズがゴッサムの不況も、両親の死も全て影の同盟が行ったことだと告白するとブルースは彼に戦いを挑むが家に火を付けられ崩れてきた木材の下敷きになってしまう。
ブルースはアルフレッドに助けられバットケイブに逃れるとバットマンに変身し、バットモービルで出動した。
その頃、島では凶悪犯罪者たちが解放されてしまっていた。警察は島への流入を防ぐために、桟橋を上げるがその隙に島に渡っていたラーズと部下たちは装置を起動させ毒ガスが蔓延していた。
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犯罪者に囲まれていたレイチェルと少年をバットマンが救い出すとレイチェルは彼に名前を聞いた。
するとバットマンは「人の本性は行動で決まる」と以前レイチェルがブルースに伝えた言葉をそのまま返し、バットマンの正体がブルースであることをレイチェルは知ることになる。
ラーズは市内を走るモノレール装置を積み込み街中の水を気化させ毒ガスを蔓延させようとする。バットマンが戦っている間にモノレールは発車してしまった。
モノレール車内に乗り込んだバットマンはラーズと戦い追い詰めた。しかし、彼はとどめを刺さず車内から脱出するとモノレールは地面に激突して爆発しラーズは死んだ。
その後
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ブルースは慈善団体を通じて公開されたウェイン株の全てを買い占める。筆頭株主となった彼は役員会を招集し現在の社長アールを解任し、フォックスを社長に就任させる。
レイチェルはブルースに自分の心のうちを明かす、2人はキスをするがブルースの今の本当の顔をバットマンであり今は仮面を被った状態であると彼女は言った。ゴッサムが平和になりバットマンが必要無くなった時まで待つとレイチェルは告げ去っていった。
ゴードンはバットマンを呼び出し、ジョーカーと名乗る凶悪犯罪者が現れたと告げる。バットマンは彼を探す為に飛びたったのだった。
『バットマン ビギンズ』の感想・解説
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これまで闇の騎士としてバットマンの素性は不明であったが、今作は彼がどのような経緯でバットマンとして生きるようになったかが丁寧に描かれている。
過去シーンと回想シーンを織り交ぜる事によって長くなりすぎず、分かりやすく生い立ちを描き出している点はさすがクリストファー・ノーランといったところだろう。
大富豪と暗黒のヒーローという二面性を持ち、自ら自分の功績を誇示しようとしないブルースの姿は尊敬に値する。バットマンという事実がバレないように豪遊する姿も清々しく思えた。
激しいアクションシーンはもちろんの事、最新鋭のテクノロジーを用いたギミックやスーツがカッコ良く見るものを魅了する。こうしたヒーロー映画的な部分もありつつ両親を失った幼少期や犯罪者へと堕ちた過去などシリアスに描かれる部分も多く大人でも飽きずに楽しめる点も魅力的である。
1番驚きと興奮を感じたのは影の同盟という忍者集団に入り修行したことがバットマンのあの強靭な体とパワーの原点になっているという点である。
忍者だったのか!?という驚きとその忍者集団のボス(偽物だが)が渡辺謙という事にワクワクが止まらなかった。
また、今作の魅力として1人のスーパーヒーローではなく多くの人に支えられて正義のために戦っているヒーローという点が挙げられるだろう。
両親がいなかったブルース少年を育て支えたのは執事のアルフレッドだったし、復讐に囚われていたブルースを正義の道へ導いたのはレイチェルの言葉だった。
彼がヒーローとして戦えるのはフォックスが開発した装備の提供があったからだろう。
スーパーパワーを持ったヒーローではなく彼らの支えがありヒーローとして戦えている人間のヒーローという点に親近感を抱くことができる点が魅力の1つである。
まとめ
過去に幾度となく実写映画化されてきたバットマンだが今作は他の作品とは全く別ものだと言えるだろう。ヒーロー系でありつつ人間のどす黒い部分であったり、人間関係などを描き出しており見応えがある作品だった。
クリストファー・ノーラン監督によるバットマンシリーズは、「ダークナイト」「ダークナイト ライジング」と三部作で続くので是非続けて鑑賞してほしい。
今後、続編の2作についてもレビューをしていこうと思う。
最後までご覧いただきありがとうございます!
次回の記事でお会いしましょう!
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