今回ご紹介するのは映画『ノック 終末の訪問者』です。
M・ナイト・シャマラン監督の最新作の感想やあらすじをネタバレありでご紹介します!!
『ノック 終末の訪問者』の作品情報
作品情報
作品名 | ノック 終末の訪問者 |
原題 | Knock at the Cabin |
監督 | M・ナイト・シャマラン |
脚本 | M・ナイト・シャマラン スティーブ・デスモンド マイケル・シャーマン |
出演 | デイブ・バウティスタ ジョナサン・グロフ ベン・オルドリッジ ニキ・アムカ=バード クリステン・ツイ アビー・クイン ルパート・グリント |
製作国 | アメリカ |
公開日時 | 2023年4月7日 |
上映時間 | 100分 |
『ノック 終末の訪問者』の原作となった作品は?
「終末の訪問者」(The Cabin at The End of The World)というポール・トレンブレイの小説である。
ポール・トレンブレイは英国幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞、マサチューセッツ図書賞などを受賞する実力派である。
しかし、小説家は本業ではなく数学教師と兼業しているというから驚きだ。
ポール・トレンブレイの小説を原作としつつシャマラン監督の手により内容を若干改変され表現されたのが今作の映画版である。
『ノック 終末の訪問者』の登場人物とキャスト
写真 | 役名・キャスト・概要 |
---|---|
アンドリュー (ベン・オルドリッジ) エリックの夫。ゲイのカップル。 | |
エリック (ジョナサン・グロフ) アンドリューの夫。ゲイのカップル。 | |
ウェン (クリステン・ツイ) アンドリューとエリックの養女。 | |
レナード (デイブ・バウティスタ) ビジョンを見た男性。体格がよく、普段は体育教師をしている。 | |
サブリナ (ニキ・アムカ=バード) ビジョンを見た女性。看護師。 | |
エイドリアン (アビー・クイン) ビジョンを見た女性。普段はレストランで働いている。息子がいる。 | |
レドモンド (ルパート・グリント) ビジョンを見た男性。アンドリューとバーで揉めた過去がある。 |
『ノック 終末の訪問者』のあらすじ
怪しい大男 レナード
ウェンは森の中でバッタを採取して瓶にいれ、一匹ずつ名前をつけていた。
すると森の中に入ってくる体格の良い男が近づいてきてウェンに話しかけてくる。
話しかけてきた大男に対してウェンは知らない人とは話さないと言うと彼はレナードと名乗り、ウェンに名前と年齢を聞いた。
レナードは見た目とは裏腹に優しく、ウェンのバッタ採取を手伝った。
レナードはウェンが父親の事をエリックパパと呼ぶことから名前で呼ぶんだねと尋ねると、ウェンは自分に父親が2人いると話した。
レナードがきた方向を見ると武器を持った3人が近づいてきたことに怯えたウェンはその場を離れて家に戻った。
家に突然訪れるレナードの一行
家に戻るとテラスで過ごしていた父親2人に危険が迫っていると伝える。
最初は軽くあしらっていたエリックとアンドリューだったが外の状況を見ると異変を感じ、彼らは急いで家中の鍵を施錠したのだった。
すると、ドアをノックする音が聞こえる。
窓から外を覗くとレナードと3人の若者たちがドアの外で待っていた。
レナードは大勢の人々を救うために来たから部屋の中に入れてくれと頼むが、エリックやアンドリューは不審に思い中に入れようとはしなかった。
レナードの仲間たちに家の周りを包囲され逃げ場がなくなった彼らは警察に通報しようとするが電話線は切られており電波も圏外で周りに助けを求めることができない状況であった。
アンドリューは車にある拳銃を取りに行こうと提案するがすぐには取りにいけない状況だった。
家の中に侵入されないように抵抗していた3人だったがレナードがドアを蹴破ろうとし窓ガラスが割れ男が中に侵入してきてしまった。
エリックは抵抗するが頭に打撃を受けたことによって脳震盪を起こしてしまった。
アンドリューは反撃するがウェンがレナードに捕まってしまい反撃を諦め捕まるしかなかった。
集まった4人の訪問者
エリックとアンドリューは椅子に縛られてしまう。
するとレナードが突然2人に自己紹介を始めた。
レナードは自分が教師でありバスケットボールのコーチをしていることを告白する。
すると3人も次々と自己紹介を始めた。
エリックを手当てしていた女性はサブリナと名乗り職業は看護師だと言った。
ガス会社に勤務しているレドモンドは落ち着きがない男性だ。
最後の女性はレストランで調理師の仕事をしているエイドリアンだと名乗った。
世界を救いにきた訪問者たち
レナードはなぜ小屋に訪れたのか理由を話し始めた。
「世界の終わりを防ぐために来た」とレナードは語り、「世界を救うためには君たち家族3人のうち1人が犠牲になるしかない」と言います。
犠牲者を殺さない限りは人類が滅亡してしまうとレナードが告げる。
ここに集まった4人は皆、住む場所も違い全くの他人で会うのも初めてだった。
彼らはあるビジョンを見たことによって小屋に集結してきたのだった。
ビジョンでは4つの災いによって人類が滅亡すると彼らは語った。
1つが水が街を沈める、2つに疫病が蔓延する、3つに空が落ちる、そして4つ目が大地が焼き払われる。
この4つの災いによって人類は滅びると4人は言うのだった。
この先はネタバレ、結末を含む内容がありますので閲覧には充分ご注意ください!!!
【1人目の犠牲者】 レドモンド
3人に犠牲者を選ぶようにレナードが真剣に問いかけるがエリックとアンドリューはそのことを信じることはなかった。
すると、レドモンドが3人の前に跪き突然、白い袋を頭から被った。
すると他のメンバーは農具で作られた武器をレドモンドの頭に突き刺したのだった。
エリックとアンドリューは衝撃の光景に言葉を失い、執行したレナードもその光景を見て嘔吐した。
レナードがテレビをつけると突然ニュースの速報に切り替わり、大地震によって津波が押し寄せていると伝えていた。
ビーチで遊ぶ人々を飲み込んでいる映像を見てレナードは「私たちのせいだ」と言った。
アンドリューは彼らはテレビ番組でやる内容を知っており自分たちを騙そうとしていると彼らを疑うもエリックはレドモンドが殺される間際に風呂場の鏡の反射の中に人を見たと言い出す。
しかし、アンドリューはエリックに対して、脳震盪で光に敏感になっているだけだとエリックを説得した。
ウェンは、彼らが家の外でレドモンドの遺体を移動させ、血痕を掃除している最中に、家から逃げ出すもレナードに見つかり連れ戻されてしまう。
アンドリューは、レドモンドが以前バーでトラブルのあった男だと気が付き、復讐のために襲ったと考える。
【2人目の犠牲者】 エイドリアン
翌日になり、エイドリアンはウェンに食事を与えた後、彼女の番が来たと宣言した。
彼女は息子がおり彼らを助けたいと懇願しますが、エリックとアンドリューは信じず、エイドリアンはレナードとサブリナによって殺されてしまう。
同時に、テレビでは世界中に広がる強い感染力を持つ謎の疫病が報じられ、致死率の高いウィルスによって多くの人々が命を失っていると伝えられた。
レナードがエイドリアンの遺体を移動させている隙に、ウェンはエリックにナイフを渡し、2人は車にある銃を取りに行く計画を立てた。
【3人目の犠牲者】サブリナ
アンドリューは家族から犠牲者を選ぶことを拒否し、ロープを外して脱出を試みる。
アンドリューは車に向かうがなかなかドアを開けることができずサブリナに襲われ足を負傷する。
しかし、やっとの思い出銃を手にし、サブリナを威嚇しながら家に戻る。
部屋に戻るとレナードがウェンを人質にしていた。
サブリナが戻ってくるとアンドリューは彼女を射殺する。
アンドリューはテレビで世界中で航空機が墜落し、大惨事が起こっていることを知る。
彼はレナードをバスルームに監禁するが、窓ガラスが割れる音がしたことでレナードが逃げたかどうか不安になり、シャワーカーテンを撃つ。
なんの反応もなかったことから安心してカーテンを開けると隠れていたレナードが飛びかかってきたのだ。
しかし、レナードは負傷しており、アンドリューが彼に対話をし、レドモンドの復習のために来たのだろうと聞くがレナードは違うと言った。
エリックは3つの予言が的中していることに心が揺れ動き、鏡の中に見た人影が現実であると確信する。
アンドリューはウェンにツリーハウスで待つよう伝える。
【4人目の犠牲者】レナード
レナードの時間が迫り彼は2人に「俺が死んだら時間は少ししか残されていない」と告げ自らの首を切って命を絶ったのだ。
エリックはヨハネの黙示録の四騎士としてレナードたちを解釈し、レナードは導く者、レドモンドは恨む者、エイドリアンは養う者、サブリナは癒す者だと考えた。
エリックは自らも未来のビジョンを見始める。
しばらくすると雷鳴が轟き落雷が起こる。
決断の時
エリックはウェンは将来、獣医師になっておりそれを支えるのがアンドリューだとビジョンで見た内容を話し、エリックは自分の犠牲でウェンとアンドリューの未来を守りたいと告げ、心の準備をする。
アンドリューはエリックに永遠の愛を誓い、泣きながら抱擁する。
森で銃声が響く中、アンドリューとウェンはツリーハウスから出て家を見ると、雷により焼失していた。
彼らは森を抜け、レナードたちが乗ってきた車を見つけ乗り込んだ。
車内にあった身分証を確認すると自己紹介通りだったことが明らかになった。
ドライブインに行きテレビで状況を確認しすると、感染率の低下と死亡者の減少が報じられていた。
アンドリューとウェンは再び車に乗り、カーオーディオをつけると3人が大好きだった曲が流れる。
エリックが亡くなったこの状況で大好きだった音楽を聴く気になれず音楽を一旦消すが、落ち込んでいるウェンを見るとスイッチをいれ好きな曲を聴きながら街に向かうのだった。
『ノック 終末の訪問者』の感想
今作はゲイのカップルの家族に降りかかる理不尽な出来事の数々が宗教的な側面で表現された作品だった。
世界の終末を家族の誰かが死ぬこと、生贄を差し出すことで救うことができるという実に理不尽な出来事に対し信じるエリックと一切信じようとしないアンドリューの対照的な姿が印象に残った。
山奥の閉鎖的な空間で家族3人とビジョンを見て集まってきた4人の計7人によって描かれる物語は壮大でありながらも閉鎖的で不気味さと緊張感もあり最後まで飽きずに楽しめる作品だった。
黙示録の4騎士に例えられたビジョンを見た4人から想像するに今作はやはりキリスト教の要素が色濃く反映されていると考えられる。
それに反して主人公をゲイのカップルにするあたりに今作のひねりを感じた。
シャマラン監督の作品だけあってもっと驚くような大逆転があるのかと期待してしまった反面、驚きはそこまで無かったが最後までスッと見られた。
伏線の回収が欲しかったなぁというのが正直なところではある。
結局、4人が言っていた世界の終末は本当のものだったのか?偶然の産物だったのか?彼ら家族の決断によって本当に世界が救われたのかその真意が明かされていない部分も作品の奥深さを出していた。
なぜゲイカップルが標的になった?
なぜゲイのカップルに世界の終末が託されたのかその真意は明かされることは無かった。
しかし、個人的には宗教色の強い今作でゲイのカップルをメインに持ってきたのには大きな意味があるのではないかと思う。
考えられる説としてはキリスト教の考え方では同性愛は罪であると表現される為、彼らへの罰として神が与えた試練だったのではないだろうか?
3人が1人を殺すことを選ぶのは1人にとって罰になるし、誰も選ばずに人類を見捨てて3人で生き残ればそれも彼らにとっては罰となる。
彼らを罰するために神が選んだという超絶理不尽な説が個人的には一番納得できた。
しかし、その真相や世界の終末が本当に起こっていたのかなどの真実は明かされておらず、鑑賞者である我々に託されているのだ。
まとめ
今回はM・ナイト・シャマラン監督の最新作、『ノック 終末の訪問者』をご紹介しました。
あ!っと驚くようなシャマラン監督お決まりの伏線回収は無いもののシャマラン監督らしい不気味で緊張感のある映像が魅力的な作品だった。
考察のしがいがあるので何度も見て理解を深めたいと思える作品だった。
最後までご覧いただきありがとうございます!
次回の記事でお会いしましょう!
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