今回ご紹介するのは映画『ボーンズ アンド オール』です。
あの、ティモシー・シャラメが食人役を演じた衝撃のカニバリズム映画をご紹介!
この記事ではティモシー・シャラメがカニバリストを演じた純愛ホラー作品『ボーンズ アンド オール』のあらすじと感想をネタバレありでご紹介していきます!
まだ鑑賞していない方も途中のネタバレゾーン以外をご覧いただけます!
人を喰べて生きる若者2人のカニバリズムを描き世界で賛否両論を生んだ映画『ボーンズ アンド オール』を詳しく見ていきましょう。
カニバリズムって何?
そもそもカニバリズムという言葉を聞いたことがない人もいるのではないだろうか?
カニバリズムとは人肉嗜食のことをいう。つまり人間が人間の肉を食べる行動のことである。
呪術的信仰や宗教的儀礼として人肉を食べる習慣は過去の部族などで度々見られた行為ではある。
現在はもちろん禁止行為だ。
また人間の適応形質としてカニバリズムの性質を持っている。人間が飢餓状態にあるとき生き残る為に1人を犠牲にして生き残ったという事例は過去にいくつか報告されている。
映画『ボーンズ アンド オール』の作品情報
作品情報
作品名 | ボーンズ アンド オール |
原題 | Bones and All |
監督 | ルカ・グァダニーノ |
脚本 | デビッド・カイガニック |
出演 | ティモシー・シャラメ テイラー・ラッセル マイケル・スタールバーグ アンドレ・ホランド マーク・ライランス |
製作国 | アメリカ |
公開日時 | 2023年2月17日 |
上映時間 | 130分 |
映画『ボーンズ アンド オール』のキャラクターとキャスト
ここからこの作品を知る上で欠かせない主要キャラクターを紹介していくよ!
写真 | 役名・キャスト・概要 |
---|---|
リー (ティモシー・シャラメ) 人を喰べる青年。 | |
マレン (テイラー・ラッセル) 幼少期から人を喰べて度々問題を起こしてしまっていた。 | |
サリー (マーク・ライランス) 人を喰べる老人。バスを待つサリーの元に突然現れる。 | |
フランク アンドレ・ホランド サリーの父親。娘が人を食べると気付いている。 | |
ジェイク マイケル・スタールバーグ 人の肉だけでなく骨まで喰らう。 | |
ブラッド (デビッド・ゴードン・グリーン) 自ら人を喰べることはないが喰べているのを見るのが好きな警察官。 |
映画『ボーンズ アンド オール』のあらすじ
あらすじにはネタバレや結末を含みますのでご覧いただく際はご注意ください!!
人喰い少女マレン
バージニア州に住む18歳のマレンは高校の卒業が近づいていた。
そんなある日、友人に家に泊まりに来ないかと誘われる。
彼女は父親が厳しく泊まりにいくのは無理だと伝えるが友人から夜中に抜け出せばいいと言われ、彼女は家を抜け出して友人宅に向かった。
友人宅でマレンは友人のネイルを見ていると、突然彼女の指を食いちぎってしまう。
友人達は困惑しマレンはすぐに自宅に戻った。
家に帰った血まみれマレンの姿を見た父フランクはここにはいられなくなると咄嗟に状況を理解しマレンと共に家を後にした。
メリーランドに引っ越した2人だったが、ある日、父はマレンを置いて家を出ていってしまった。
家に残されていたのは少しの現金とカセットテープ、そしてマレンの出生証明書だった。
カセットテープには「2度とお前に会うことはない、もう助けられない」「この録音を聞き終わったら声が残らないようにテープを壊して捨ててくれ」と収められていた。
マレンは自分は何者なのか知る為、別れた母親を探すことに。
出生証明書を確認したマレンはそこに書かれていた母の住所を見つけミネソタ州まで1人で会いに行く。
向かうバスの中でカセットテープの録音を聴くとそこには、父がマレンが人喰いではないかと疑念を抱いたのが3歳の時だと収められていた。
3歳だった彼女はベビーシッターの女性を食べ殺してしまっていたのだった。
人喰いの老人サリーに出会うマレン
乗り換えのために降りた町でバスを待っているとサリーという老人に出会う。
彼は自分も人喰いだと彼女につげ数百メートル離れた場所から匂いを嗅ぎ分けこの場所まで辿り着いたと言う。
彼はマレンに最後に食べたのはいつだ?と質問した。
最後に食べたのは何年も前だと答えたマレンは誘われるがままに彼の家について行く。
サリーはマレンに人喰いについての説明をし、同族の人はこの世にかなり存在していることを伝える。
臭いの嗅ぎ方を教わったマレンは臭いを頼りに家の中を進んでいく。
すると2階に息はしているものの瀕死状態の老婆が倒れていることを発見する。サリーは食べるように勧めるがマレンは助けを呼ぼうとする。
結局、助けを呼ぶことが出来ず寝たマレンが次の日の朝目を覚ますとサリーが瀕死状態だった老婆に貪りついていた。
それを見たマレンはサリーと同じように老婆に貪りついた。
サリーはこれまで食べた相手の髪の毛を集め束にしていると話し数メートルに及ぶ髪の束をマレンに見せると彼はマレンにしばらく一緒に行動しようと誘った。
奇妙な行動をとる彼の姿を見たマレンは嫌悪感を感じ彼の元から去ることを決め1人で再び家を出てバスに乗った。
バスが出発すると道の片隅で彼女の乗るバスを待っていたかのように立ち尽くすサリーが去っていくマレンを寂しそうな顔で見つめていた。
人喰いの青年リーとマレンの出会い
無事に次の中継地点であるインディアナ州へと辿り着いたマレンは万引きの為にスーパーに入る。
そこで女性客に失礼な態度をとる男性客おり、これを注意する青年がいた。
マレンは同族の臭いを感じることができるようになっており彼が人喰いであることが分かった。
マレンが店を出るとある臭いを感じた。彼女が少し離れた廃墟に近づくとそこから店にいた青年が血まみれで出てきた。
マレンは彼に近づくと自分も同類であると彼女に告げたのだ。青年は名前をリーと名乗り男性客が乗っていた車に乗り込み2人で旅に出ることになる。
同族カニバリストとの出会い
マレンとリーは旅行中に渓谷で水浴びや湖畔での野営を楽しんでいた。
野営の準備をしていると、2人の男性が近づいてきた。
彼らは友好的な態度でビールを持参し、ジェイクという男性は同族だと言う。
もう1人の男性ブラッドは以前ジェイクが人肉を食べている現場を目撃した警官だった。
しかし、それを見たブラッドは逮捕することはなく彼の行為を興味深いと感じ、それ以来はともに行動するようになった。
ジェイクはリーを見て、彼の顔に禁断症状が現れているように見えると言った。
彼は人を襲わないように自制しているが、それが難しい状況にあるのではと示唆した。
そして、ジェイクは「フルボーンズしたことはあるか?」とマレンとリーに尋ねる。
マレンが何なのか聞くと、人を骨の髄まで食べつくすことだと教え、フルボーンズするのとしないのとで、人生が変わってくると言った。
マレンは骨まで喰らうなど無理だとジェイクの話を信じず、車へと戻り彼らを警戒した。
マレンがいなくなるとジェイクは「愛ならお前を解き放てるかもしれない」とリーに言った。
気味悪がったマレンとリーはジェイクとブラッドが寝ている間に車でその場を後にした。
仲を深めるリーとマレン
マレンとリーの2人は車でアイオア州に到着する遊園地を見つけると恋人のように2人で遊んだ。
するとマレンはリーに「食べたいよ」と伝える。
リーは1人になるとゲーム小屋のある男性に狙いをつけた。その男性スタッフはリーに対して「マリファナが車にある」と言い、遊園地の閉園後に駐車場で待ち合わせた。
男性は草むらでリーと性交に及ぶがその隙にリーは彼のことを殺しマレンと共に食べてしまった。
男から車を盗み男の家に向かおうとすると家の明かりがついていることに気が付く。
その男性スタッフの家には彼の妻と子供が待っていたのだ。男が一人暮らしだと思い込んでいた2人は自分たちがしたことに後悔し激しく動揺した。
リーは「家族がいることは知らなかった」とマレンに言うがマレンは「人殺しをして他人の人生を奪って平気なのか?」と伝える。
母を探すため実家を訪れるマレン
マレンはようやく目的地であるミネソタ州に到着する。すると彼女は電話帳で母親の家の住所を調べて尋ねることに。
そこにはマレンの祖母が住んでいた。しかし、祖母はマレンの母親と血縁関係はなく、保護施設に捨てられており引き取ったことを話す。
そして母親はある問題を抱えていたと認めた。祖母は母親が街の精神病院に入院していることを伝えた。
マレンと母の再会
マレンは病院に行きついに母親と面会をすることになった。
母親は自傷行為をしたり他人に危害を加える可能性があるとして現在は独房に入っていた。
看護師に案内され独房に入って行ったマレンは自分の母親の腕がないことを見て自分で自分の腕を食べたのだと理解した。
看護師は15年前にマレンの母親から預かり、娘が来たら渡してほしいと言われた手紙を持ってきてマレンに渡した。
そこには育て上げることが出来なかったという謝罪とこれ以上苦しんで悩んで欲しくないと記され、さらに文末にはマレンは母親と同じ怪物であると記されていた。
すると読み終えたマレンに母親が襲い掛かり殺そうとした。
マレンは看護師が母を抑えている間になんとか逃げ出しリーの元へと行くが母親に襲われ殺されそうになったショックで彼に八つ当たりをし怒りをぶつけてしまい口論になる。
リーはマレンに対して「残された選択肢は食うか死ぬか閉じこもるしかない」と言うとマレンは「閉じこもりはしない」と強い口調で言い返した。
リーの前から姿を消したマレン
マレンはリーが居眠りをしている間に給油をしてくると言い彼の元を離れ1人で歩き始めた。
リーは目を覚ますとマレンがいなくなったことに気がつき彼女を捜索し始める。
1人で行き場もなく歩いていたマレンの前に突然サリーが現れる。サリーはメリーランドから彼女の後をつけて来ていたのだった。
サリーは自分と共にドライブをしようと車に乗るように誘うが、つけてくるなんておかしいし信用できないとマレンはサリーの誘いを断った。
するとサリーは逆上しマレンに罵声を浴びせて「初めて隣で食べたのはお前だ、これには何か意味がある」と言うと車でその場を立ち去った。
一方、リーはマレンを探すも見つけることが出来ず、諦めて実家に帰ることにする。
再び再会を果たすマレンとリー
夏になりマレンはリーの地元に訪れアイスクリーム屋にいたリーの妹ケイラに声をかける。
ケイラはリーが今は湖畔のテントで生活しているとマレンに教えた。
ケイラはリーと父親の関係についてマレンに話した。
アルコール依存症で子供たちに暴力を振るう父親と喧嘩になりその後、父親が失踪した。
その後警察の事情聴取でリーが勾留されたことによって彼が殺したと噂になり地元に居られなくなってしまったという内容だった。
さらにケイラはマレンにリーはあなたを待っていると伝えると、マレンは急いで湖畔に向かった。
仲直りした2人は旅を再開し西を目指して車を走らせた。
草原で休憩をするとマレンはリーに父親のことをケイラから聞いたと言うと、リーは最初は話したがらなかった。
マレンが「私にはなんでも話してほしい」と言うとリーは父親も同族で自分の腕を食いちぎろうとしたことを話し、その後リーは自分の父を瀕死に追いやり貪ったことをマレンに告げた。
最低なことをしたから自分は死ぬべきだと話すリーに対して、マレンは慰め大切な人を守るために仕方がない行動だったと言い、愛していると伝える。
2人はキスを交わした後、車でガソリンがなくなるまで走り止まった街で普通の人として生活しようと決心した。
新たな街での生活
ミシガンの町で2人は生活を始め、マレンは書店での仕事を見つけていた。
幸せな生活を送るマレンが家に帰ると彼女の前に、再びサリーが現れた。
突然現れたサリーにマレンは襲われてしまう。リーが家から出ていくのを確認して家の中に侵入したサリーはマレンに想いを寄せていたことを明かす。
出かけていたリーが帰ると、彼女をベットに倒し、のしかかっているサリーの姿を確認する。
リーは背後から忍び寄り頭からビニール袋を被せ窒息死させようとするがサリーもナイフで刺されてしまう。
マレンはサリーの腹部をナイフで何度も刺し気絶させ風呂場まで運ぶと刺し傷に手をいれ中の内臓をえぐり取って殺した。
マレンはサリーのカバンから髪の毛の束を出すとそこにはリーの妹ケイラの髪の毛があった。リーはそれを知り絶望する。
サリーに刺された傷によって肺から空気が漏れているリーをマレンは病院に連れて行こうとするが彼は死期が近いことを悟りマレンに自分の骨まで全て食べるようにお願いする。
リーが「食べて愛してほしい」と伝えると彼女はリーに貪りついたのだった。
映画『ボーンズ アンド オール』の感想・解説
普通の人として生きられないとう苦悩を抱えた食人カップルを題材とした作品だった。
カニバリズムという、現代社会ではあまり馴染みのない事例ではあるが単にカニバリズムを描いているわけではない。
LGBTQなどの性的マイノリティと呼ばれる若者たちの苦悩を置き換えて描いているのではないかと感じた。
こういった孤独感を描いていく中で人は誰しも共感できる相手を求めることや愛によって新たな道へと進もうとする姿が描かれていた。
映像的にはティモシー・シャラメがカニバリストを演じ血まみれになりながら人に貪りついたり殺害したりと衝撃的なシーンが多かった印象だった。
マレンとリーの恋愛を何気ない生活の描写で表現し、美しい映像と音楽で幸せな雰囲気を映し出している。
それに対して、サリーの歪んだ愛でマレンをストーキングする姿や突然家に現れ襲うシーンはある種のホラーであった。
ラストの血まみれのマレンとリーの2人のやり取りはグロテスクでいたましい描写ではあるものの、リーが言った「骨まで食べて愛してほしい」という言葉には彼女を心の底から愛する美しさを感じた。
まとめ
衝撃的な人を捕食するシーンが目につきがちだが美しい恋愛の要素もあり、ホラーの要素もあり、単なるカニバリズムを描いたホラーとは括れない作品だった。
欲望と世間体との間で苦悩し孤独を感じる若者の姿を音楽、景色、何気ない描写で美しく切り取っていた。
多少ばかり血が流れたり、内臓が出たりと目を背けたくなるようなシーンもあったが作品自体に引き込まれた。
血やグロイシーンが苦手な方が鑑賞する際には注意が必要だが変な先入観を持たずに是非一度鑑賞してほしい。
最後までご覧いただきありがとうございます!
次回の記事でお会いしましょう!
コメント