今回ご紹介するのは映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』です。
実施にあった事件が元になり製作されたタランティーノ監督の作品を紐解いていきます!
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の作品情報
作品情報
作品名 | ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド |
原題 | Once Upon a Time… in Hollywood |
監督 | クエンティン・タランティーノ |
脚本 | クエンティン・タランティーノ |
出演 | レオナルド・ディカプリオ ブラッド・ピット マーゴット・ロビー エミール・ハーシュ マーガレット・クアリー ティモシー・オリファント マイク・モー ジュリア・バターズ |
製作国 | アメリカ |
公開日時 | 2019年8月30日 |
上映時間 | 161分 |
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の登場人物とキャスト
写真 | 役名・キャスト・概要 |
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リック・ダルトン (レオナルド・ディカプリオ) かつての西部劇で人気だった俳優。現在は人気が低迷し自らのキャリアに不安を抱いている。 | |
クリフ・ブース (ブラッド・ピット) リック専用スタントマン。彼の親友であり公私共に彼と行動をしている。 | |
シャロン・テート (マーゴット・ロビー) ハリウッドで売り出し中の女優。リックの隣の家に越してきたが面識はない。 | |
チャールズ・マンソン (デイモン・ヘリマン) カリフォルニア州でカルト集団「マンソン・ファミリー」を率いている指導者。 | |
プッシーキャット (マーガレット・クアリー) クリフに興味を持ち、彼をスパーン牧場まで招いたヒッピー。 | |
テックス (オースティン・バトラー) マンソン・ファミリーのNo.2であり、スパーン牧場で乗馬体験を提供する男。 | |
マーヴィン・シュワーズ (アル・パチーノ) リックのエージェント兼、映画プロデューサー。リックにイタリア映画の出演を提案する。 | |
ロマン・ポランスキー (ラファル・ザビエルチャ) 新進気鋭の映画監督でシャロン・テートの夫。 | |
トルーディ・フレイザー (ジュリア・バターズ) リックと共演した子役俳優。子供ながら高い役者意識を持っておりリックに衝撃を与える。 | |
ブルース・リー (マイク・モー) 若手のカンフー俳優。クリフと一悶着ある。 |
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は実話って本当?
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドは実話だ」と聞いたことがある人も多いのではないだろうか。
この章ではその噂について徹底解説をしていこうと思う。
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は実話なのか?
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドは実話なのか?結論から言うと実話を元にしたフィクションである。
実話をベースにしてはいるがあくまでも内容はフィクションであり、実在しない人物も多数登場している。
その1番の例が、主人公のリック・ダルトンとクリフ・ブースである。そもそも彼らは完全なるフィクションで作られた物語の登場人物だ。
では、どの部分が実話なのか?
それは若手女優のシャロン・テートに関わる部分である。
彼女の身に起こった事件を新たな側面から描き出した創作の物語が今作なのである。
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の元ネタとなっているシャロン・テート事件を解説
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの元ネタとなった事件がある。
それはシャロン・テート事件だ。この事件の概要を知ってから作品を鑑賞するのと知らないで鑑賞するのとでは満足感と物語の理解度に大きな差が出てくると鑑賞して感じた。
そもそも全くこの事件を知らずとも内容は楽しめるが、事件の概要やこの年代の時代背景を理解することでより物語を楽しめる。
では、問題のシャロン・テート事件とはどのような事件なのか?シャロン・テートとは誰なのか?確認していこう。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に出てくるシャロン・テートって誰?何者?
シャロン・テートは実在した人物でアメリカの女優である。
高校時代に居住していたイタリアでは数本の映画にエキストラとして出演し、CM出演やモデルとしても活動していた。ハリウッドに渡り、人気TVシリーズ「じゃじゃ馬億万長者」でブレイクした。
映画「吸血鬼」で共演した縁で映画監督のロマン・ポランスキーと結婚し、子供も授かり公私共に順風満帆に進んでいた、この時代を席巻する若手ハリウッド女優の1人であった。
しかし、シャロン・テート事件によって若干26歳という若さでこの世をさることになる。
シャロン・テート事件とは?
シャロン・テート事件とは、1986年の8月9日にシャロン・テートが自宅にいた友人3人と共にカルト集団の襲撃犯によって殺害された事件である。
殺害の理由が衝撃的でアメリカ中を震撼させたのであった。
彼女たちが殺害された理由は理不尽にも人違いで殺されてしまったのだった。
シャロンが住む前にその家に住んでいた住人テリー・メルチャーを殺害する計画をたてていたカルト集団のマンソン・ファミリーだったが不運にもシャロン・テートを殺害してしまうことになる。
マンソン・ファミリーの指導者チャールズ・マンソンは音楽プロデューサーだったテリー・メルチャーと親交があった。
チャールズ・マンソンは彼にメジャーデビューさせてもらうことを期待していたがそれは叶わなかった。
彼は次第にテリー・メルチャーに恨みを持つようになり、ついには殺害を計画してしまったのだ。
不運にも事件に巻き込まれてしまったシャロン・テートは当時、ロマン・ポランスキーとの間に子供を授かり妊娠8ヶ月であった。
襲撃を受けた際には子供を助けるようにと襲撃犯に対して懇願したそうだが逆にそれが仇となり全身を刺され殺害されてしまうことになった。
チャールズ・マンソンの理不尽な逆恨みによってハリウッドを背負う未来あるシャロン・テートの命は奪われてしまったのだった。
理不尽な事件によって未来あるハリウッド女優の命が奪われてしまったのがシャロン・テート
事件なんだね。
次は映画のあらすじを確認していこう!この事件との関連性も気になるね!
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のあらすじ
西部劇のスター俳優リック・ダルトンとスタントマン、クリフ・ブース
かつて西部劇のスター俳優として活躍していたリック・ダルトンは下降気味の自分のキャリアを案じていた。
最近はテレビドラマのゲスト出演か悪役でのオファーしか来ない毎日にうんざりしていたのだ。
そんなリック・ダルトンのスタントマンを務めるのがクリフ・ブースである。彼はリックとは親友で免許を飲酒運転によって失ったリックの代わりに彼の運転手も務めていた。
ある時、リックを気に入っている映画プロデューサーのマーヴィン・シュワーズからイタリアの映画への出演のオファーがくる。
しかし、リックはいよいよハリウッドでのキャリアも落ち目を迎えてしまったのかと感じ出演に対する返事を渋っていた。
リックはクリフの肩に顔を埋めて泣くがそこまで悪い話ではないのではとクリフはリックを慰めた。
隣に越してきたロマン・ポランスキーとシャロン・テート
高級住宅地シエロ・ドライブの自宅に帰ってきたリックとクリフは隣の家に映画監督のロマン・ポランスキーが車で入っていくのをみて機嫌が戻る。
クリフはリックを自宅へ送った後、ドライブインシアターの隣にあるトレーラーハウスへ帰宅する。
一緒に暮らす、犬のブランディに餌を用意するとブランディはクリフの合図を待ってから食べ始めた。
リックは自宅で酒を飲みながら撮影の為のセリフをカセットテープを再生し練習をしていた。
一方、シャロン・テートとロマン・ポランスキーは招かれたパーティーに参加して夜を楽しんでいた。
撮影に向かうリックとクリフ
翌日になりリックとクリフは撮影現場へと車で向かう。
クリフはスタントの仕事をもらえないか聞いてほしいとリックに頼んだがスタントのコーディネーターがランディの友人なので今日は無理そうだと伝える。
以前、リックはランディにクリフをスタントに起用してくれないかと打診したが妻だった女性を殺害した過去をもつクリフをランディは妻が嫌がるからという理由で嫌っていた。
リックはその話は古い噂だといいなんとかスタントの起用を了承してもらった。
しかし、撮影の合間にブルース・リーに絡まれたクリフはリーから友好的な勝負をしようと言われる。
一度はリーの攻撃に倒れたクリフだったがその後リーを投げ飛ばしランディの妻のジャネットの車をボコボコにへこます。
そこに現れたジャネットはスター俳優であるブルース・リーを痛めつけたこと自分の車を壊されたことに怒り彼を解雇したという過去があった。
リックから撮影の間に家のアンテナを直してほしいと頼まれていたクリフは屋根の上からチャールズ・マンソンがシャロン・テートの家に向かうのを目撃する。
シャロンの家に着いたマンソンは家の外に出てきたシャロンの友人にテリーを探している言う。しかし、現在はポランスキーが住んでおりテリーは引っ越したと答えた。
撮影の待機中リックは8歳の共演者の少女トルーディーに出会う。
彼女は若いながらも俳優としての心得を大物俳優であるリックに説いた。
今の自分の姿を惨めに思えてきたリックは彼女の前で涙ぐみ慰められた。
自分の出演する映画を鑑賞するシャロン・テート
その頃、シャロン・テートは車でドライブをしていた。
ウエストウッド・ヴィレッジに行きたいと言うヒッチハイカーの女性を送ってから彼女は本屋に向かう。
夫であるロマン・ポランスキーにプレゼントする為に本を購入した彼女は近くの映画館で自分が出演していた映画が上映している事に気づく。
彼女はチケットを販売している女性に「自分が出演している映画だから無料で鑑賞できないか?」と頼み鑑賞をすることに。
彼女はポスターの前で写真撮影をし、映画を楽しんだ。
酒でセリフを飛ばすリック・ダルトン
一方で映画の撮影に臨んでいたリック・ダルトンは前日の飲酒のせいでセリフを何度も飛ばしてしまう。
全員の前で恥をかいたと自分自身に怒りを感じ、トレーラーに戻ると大暴れをした。気合を入れ直したリックは撮影に戻ると迫真の演技を披露する。
リックは監督から素晴らしい演技とアイデアだったと褒められ安心すると共に共演者の8歳の少女トルーディーにも褒められリックは涙ぐんだのであった。
スパーン映画牧場に向かうクリフ・ブース
クリフがドライブをしているとヒッチハイクをしているヒッピーの女性プッシーキャットを見かける。
クリフは彼女の事を何度か通りで見かけたことがあり、3度目の正直だとお願いされ彼女が住むチャッツワーツにあるスパーン映画牧場まで送ることになる。
スパーン映画牧場に到着するとプッシーキャットはチャーリーを紹介したいと話した。
すると大勢の女性が建物から現れクリフの様子を伺った。馬に乗ったリーダー格の男テックスが現れクリフに声をかける。
クリフはスパーン映画牧場の所有者であるジョージと以前仕事をしたことがあり、挨拶をしたいから会わせてほしいと頼むが彼女たちは会わせようとしない。
スパーン映画牧場に若者たちが住み着いている奇妙な状況を気にかけジョージの身を心配したクリフだったが彼に会うと彼は目が見えない上にクリフの事を全く覚えていなかった。
ジョージに会い用事が済んだクリフは建物の外に出ると若者たちに冷ややかな視線と罵声を浴びせられる。
車に戻るとタイヤに穴を開けられパンクしている事を発見する。
近くにいたクレムという男は自分がやったことを認め薄ら笑いを浮かべた。クリフは怒り彼のことを殴ってからタイヤを交換させた。
事態を聞きつけテックスがその場に訪れるも彼が到着する頃にはクリフはその場を立ち去っていた。
リック・ダルトンがついにマカロニ・ウエスタンに出演する?
クリフはリックを撮影の現場に迎えに行き2人で家に戻るとリックが出演するFBIというテレビドラマを一緒に鑑賞しながらピザとビールで食事をした。
クリフはプッシーキャットから買ったLSD入りのタバコを取り出すと机に置いてあったシガレットケースに入れリックに吸わないように伝えた。
6ヶ月が経った頃、映画プロデューサーのマーヴィンからの推薦でマカロニ・ウエスタンの世界で2番目に名監督のセルジオ・コルブッチの新作映画「ネブラスカ・ジム」に出演することが決まる。
マーヴィンの推薦でその後も複数の作品で主演を務め、半年のイタリア生活でかなりの収入を得ることになる。イタリアで新人女優のフランチェスカ・カプッチと結婚したリックはアメリカに帰国する。
アメリカに戻るとリックはクリフに新婚の生活が始まりお金もかかってくる為、今後はクリフを雇い続けられないと話した。
家の家賃を払うことも厳しく家を売りトルーカ・レイクに引っ越すと話すリックの事情を理解したクリフは了承した。
相棒として共に過ごしてきた2人の関係は終わりを迎えようとしていたのだった。
シャロン・テート宅に集まる友人たち
ロマン・ポランスキーは新作の撮影でロンドンに滞在をしていた。その間、シャロン・テートは2人の友人を家に招待していた。
1人はロマンの旧友のヴォイテク・フライコウスキーでもう1人が彼の恋人でコーヒー財閥の女相続人アビゲイル・フォルジャーである。
その夜、シャロン・テートとその友人たちはビバリー通りにあるメキシコ料理店エル・コヨーテに夕食をしに行った。
一方、リックとクリフもメキシコ料理店カーサ・ベガに食事をしに行った。クリフの飼い犬ブランディはリック妻、フランチェスカを守っていた。
リックとクリフは泥酔し乗ってきた車を置いてタクシーで帰ることに。
帰ってきたリックはマルガリータを作り始め、クリフはヒッピーからもらったLSD入りのタバコを見つけ吸いながら愛犬ブランディの散歩をする。
リックは家の中まで聞こえてくるエンジン音に腹をたて窓の外を覗くと一台の車が止まっていた。
リックは外に出て怒りをぶつけ出ていけと怒鳴った。一触即発の雰囲気が流れるがリックが警察を呼ぶと言ったのでマンソン・ファミリーは一旦立ち去った。
マンソン・ファミリーの1人がリックがジェイク・ケイヒル役の俳優だと気が付く。
マンソンからテリーが住んでいた家に行き全員を殺すように言われていたマンソン・ファミリーであったが状況を鑑みて一旦車の中で話会うことに。
するとファミリーの1人が「子供は皆テレビを見て育つ。ドラマでは人殺しの内容ばかりで自分達に人殺しを教えたのはテレビに出演している人たちだ」と言うと皆が納得して殺しを決行することに。
リック・ダルトンの家にマンソン・ファミリーが襲撃してくる
ブランディの散歩から戻ったクリフはブランディにドックフードをあげようと缶詰を開けているとそこにマンソン・ファミリーの3人が侵入してきた。
マンソン・ファミリーのテックスはクリフに拳銃を向けるがLSD入りのタバコでハイになっているクリフは手で拳銃の形を作り彼に向ける。
騒いでいる声で起きたフランチェスカがリビングに訪れるとファミリーの1人にナイフで脅される。
テックスがクリフに銃を向けて発砲しようとした瞬間クリフが合図を送るとブランディはテックスに飛びかかる。
ファミリーの1人がクリフにナイフを向けて突進し腰にナイフを突き刺した。これに怒ったクリフは彼女の頭を持ち顔面を壁や床に叩きつけた。
顔面が血だらけになったファミリーの1人は発狂しながら銃を発泡しリックがいたプールに落下した。
リックはプールで音楽を聴きながら酒を飲んでおり状況に全く気付いていなかったがプールに落下してきたマンソン・ファミリーのヒッピーの姿を目撃し状況を理解した。
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リックは急いで昔の映画撮影で使用した火炎放射器を取り出し暴れているヒッピーのことを丸焼きにした。
警察が駆けつけ、リック、クリフ、フランチェスカは取り調べを受けた。
ヒッピーに刺され傷を負ったクリフは救急車で搬送され、リックは彼を見送った。
隣からシャロン・テートの友人、ジェイが様子を見に現れるとリックに声をかける。
リックが状況を説明するとシャロン・テートがインターフォン越しに家招き入れたのだった。
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の感想・解説
この作品は、1969年8月9日に起きたシャロン・テート事件を題材にしている作品である。
事実通りに描かれた作品ではなくタランティーノ監督による創作が大部分を占めている。
ハリウッドの未来を担う若手女優として期待されていたシャロン・テートだったが彼女の人生はあまりにも早すぎる終わりを迎えてしまった。
そんな彼女が生き延びた未来を描くと同時に1960年代のハリウッドを描き出して作品で見応えがあった。
ただ、メインの3人のキャストと彼らの今、過去を織り交ぜながら描いている為、ある程度の知見がないと内容を理解するのは難しいと感じた。
そもそも、シャロン・テート事件について知らないと面白い内容の映画止まりになってしまうだろう。
しかし、事件の概要を少しでも理解しることで作品の結末がこのように表現された意味を理解することが出来るのではないかと感じた。
また、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが演じたリックとクリフのお互いに信頼をしている親友関係は憧れすらも覚えた。
スタントマンと俳優の関係性、そして1960年代の映画業界の裏を覗き見できている感じで個人的には満足度がかなり高かった。
ラストのマンソン・ファミリーがリックの家に押しかけ殺害をしようとしたシーンではクリフのハイになった姿や愛犬のブランディ、そしてリックの火炎放射など怒涛の展開で目が離せなかった。
まとめ
1969年のハリウッドを覗き見したような作品だった。
映画業界の華やかさを知る一方で、売れっ子だった俳優の落ち目を見たりそれに苦悩する姿も描かれていた。
1番の魅力はやはりタランティーノ監督が描いたシャロン・テートが生き残った世界線だろう。
監督は事件への怒りや疑問を作品という形で表現したのではないだろうか。
さらに、リックとクリフをレオナルド・ディカプリオとブラッドピットが演じるという何とも贅沢な配役だった。
更に、シャロン・テートをマーゴット・ロビーが演じておりキャストだけで画面上が絵になり、それをタランティーノ監督が表現することで満足度の高い作品だった。
最後までご覧いただきありがとうございます!
次回の記事でお会いしましょう!
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